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    November, 2009

    宮脇昭先生講演会&苗木作り体験会のお知らせ (12月4~5日@長野)

     


    宮脇昭先生の講演会、また先生が指導されるポット苗作り体験会が長野で開かれますので、お知らせいたします。

     

     

    ~ふるさとの森づくり講演会~

     

    日時:124日(金) 14時~16

    場所:長野県上水内郡飯綱町町民会館ホール

       (最寄駅:JR信越本線牟礼駅)

    主催:NPO法人 国際ふるさとの森づくり協会 (ReNaFo

     

     

    ~苗木作り体験会~

     

    日時:125日(土) 10時~11

    場所:長野県上水内郡飯綱町 国際ふるさとの森づくり協会長野事務所 

       (最寄駅:JR信越本線牟礼駅下車)

    主催:NPO法人 国際ふるさとの森づくり協会 (ReNaFo


     

    詳細およびお申し込みは直接下記リンクからお願いいたします。

    http://www.renafo.com/12051204.html


     

    ご興味ある方は、ぜひお誘いあわせの上ご参加くださいませ。

     

     

     

    November, 2009

    ふるさとの木によるふるさとの森づくり

     


    秋の下北半島は、紅葉と美味海の幸が楽しめるが、今回の旅の目的は、もちろんそんな贅沢なことだけではない。メインイベントは、毎度おなじみ植樹祭なのである。今年で4度目となる、NPOGEMBU」主催の植樹祭だ。気がつけば毎回参加で、皆勤賞ものなのだから、どうりで下北半島に詳しくなっているわけである。勝手に下北半島宣伝担当を買ってでてもいいくらい、これまであっちこっち行っているのだから、いまや私にとって第3の故郷と言ってもおかしくないだろう。


    さて、そんな今回の旅の目的である植樹祭。今回はむつ市の水道局の敷地内でその植樹が行われることになっていた。天気予報では雨だったが、朝迎えたお天気は曇り模様。毎度ながら、ほっとする瞬間である。気温もいつもより温かいようで、ついこの前まで最低気温が5度なんていう厳しさだったとは思えないほどである。


    8時過ぎ。植樹会場に伺うと、すでに関係者や水道局の職員さんたちが準備に勤しんでおられた。敷地内の山の斜面には、「早く植えて~」と言わんばかりの苗木たちがたくさん待っている。1万本近い苗木たちは、ミズナラやコナラ、クリなど、寒い地域だけあって落葉広葉樹が多い。関東地域では滅多に見ない木も多く、苗木を見ても、「あなたはだーれ?」と首をかしげることもしばしばだ。これも、宮脇昭先生の提唱する「ふるさとの木による、ふるさとの森づくり」という植樹方法ならではだ。

     

     


     

    私は以前から思ってきた。結局のところ、「ふるさとの木による、ふるさとの森づくり」という概念は、ごくごくシンプルで自然で、当たり前のことなのだと。「郷に入っては郷に従え」、「地産地消」、「所変われば、品変わる」。こんな言葉たちと、きっと同じようなことを意味しているのだろう。その土地、その地域独自のものをきちんと守り大事にしないと、いつかは自然も人間も、バランスが崩れてしまう。そんな、ごくごくシンプルな考えが、ずっと長い間ないがしろにされてきたのかもしれない。いまや、多くの日本人が、こぞって日本の歴史に興味を持ち、日本独自の文化に舞い戻り、誇りや価値観を取り戻そうとしている時代である。きっと、すべては同じ回帰現象なのかもしれない。ここのところ、私はこんなことを思うようになっている。


    当初、700人近くの参加者を見越していた植樹祭だが、生憎インフルエンザの蔓延で地元の小学校が閉鎖となり、子供たち数百人が参加できないという突然の事態に見舞われていた。こうなると、参加者はぐんと減るのだが、その一方で、参加した人間にとっては植える苗木の数が倍増になるという嬉しいハプニングが起こるわけである。もともと、スタッフとしてお手伝いをする予定だった私だったが、植え手にまわっていいと聞き、ますますテンションがあがっていく。なにせここのところ、植樹祭の人気も知名度も着々と上昇しており、参加者が多くなりすぎて一人当たりの苗木の数があまり多くなく、さらには、私自身ほぼ毎回スタッフとして働くために、1本も植えないで終えるという植樹祭も珍しくないのである。そんな中にあって、いくらでも植えられる植樹祭というのは、はっきり言ってラッキーなのである。「一人50本は植えられるよ~」。そんなありがたい言葉に一気にわくわくしてしまうのだから、なんて単純な私なのだろうと思ってしまう。


    9時半頃。いつものように開会式が始まり、主催者挨拶、来賓挨拶の後、宮脇昭先生の植樹指導と続いていく。学校閉鎖とは関係なく、集まってくれていた数十人の小学生達は、一番前に座り、先生の話にじっと耳を傾けている。早くから長い時間待っていたのに、騒いだり、ふざけたりすることもなく、なんてすごい小学生達だと感心してしまう。きっと、木々の生長に負けないくらい、みんなぐんぐんと大きく、素敵な大人になるんだろう。つい、そんな渋いことを思ってしまった。いやはや、すっかり私も大人になってしまったものだ。ついこの前まで子供だったというのにもかかわらず。

     


     

     

    開会式を終えた後、各ブロックに別れていよいよ植樹が開始となる。傾斜の厳しい植栽地は前日の雨で非常にぬかるんでおり、開始前から、よりによって新しく、超お気に入りのスニーカーで来てしまったことを大いに悔やみ、猛省していた。が、ある時点から、えーい仕方ないと、思いっきりぐちゃんぐちゃんの泥の中に足を踏み入れ、一心不乱に木を植えることにした。なにせ、一人あたり数十本はあるという苗木たちが、いまかいまかと出番を待っているのである。普段、滅多に満足するまで木を植えられない私は、普段とは180度違うくらい寡黙に、ひとり静かにただひたすら木を植えた。まわりの参加者の方たちも、何度か経験したことのある人が多いようで、さしてサポートをする必要もなく、安心して木を植えることだけに傾注する。我ながら、驚くほどの集中力である。これだけの集中力と熱心さがあれば、他にもっと何かできるんじゃないかと思うのだが、どうやらこの熱意は植樹祭くらいでしか発揮されないようである。ある意味、不器用な私である。

     

     


     

    開始から少し時間が経ったころ、グレーだった空は次第にどんよりと重くなり、時々雨粒が落ちてきた。急いでレインジャケットを羽織り、「お願いだから止んで~」と空に願うことにする。植樹祭にはこれまで50回以上出ているが、作業ができないような本降りになったことはこれまで一度もないのである。今回も、パラパラと雨粒は落ちてきたが、ふっと気がつくとその雨もあがり、まぶしい日差しが差し込むようになっていた。相変わらず、ありがたい天の味方である。そんな空の力も借り、参加者は黙々と次々に木を植え続けている。普通、自分が参加しているブロックが終われば、そのまま作業を終えて帰ってしまうものなのだが、今回の参加者の皆さんは、非常に自主的で、言われるよりも前にまだ手をつけていない植樹ブロックに移動し、次から次へと苗木を大地に植えていた。なんと素晴らしい、ボランティア精神だろう。私も、「まだまだ植えるぞ~」とばかり斜面を上がり、植えても植えてもまだ終わらない苗木たちと、なかなか言うことを聞かない土とずっと格闘していた。あとで仲間から、「珍しく声が聞こえなかった」と笑われたくらい静かに、そして夢中になって作業していたのだから、どれほど貴重な植樹祭だったかがよくわかるだろう。

     


     

     

    作業開始後、2時間弱。植えても植えても飽きたらない私ではあったが、「もう下りないと、バスに間に合わない!」との再三の声かけに従い、いやいやながらも植栽地を後にする。「いや~、まだ帰りたくない~」と大声で叫んだら、周りの笑いを誘ってしまったのだが、苗木が残っているのに植樹現場を離れるというのはやはり寂しいことである。できることならば片付け作業までやりたかったが、帰りの時間もあり、後ろ髪を惹かれる思いで身支度を整え、宮脇先生や植樹仲間とともにバスに揺られて、一路、脇野沢方面へと向かう。お世話になった植樹祭関係者の皆様、友人たちには、いつもながら感謝感謝である。


    バスの中から手を振り、別れを告げた後、50本以上は植えただろうかという疲れが突如出てきて、思わずバスの中で眠くなる。ありがたい、心地よい疲れである。しかし、うとうとしたところで脇ノ沢のフェリー乗り場へと無事到着。なんとか待っていてくれた雨雲も、フェリーに乗り込むと同時に一気にその表情を変えはじめ、待ちかねていたかのように一気に激しい雨粒を落としてきた。どしゃぶりの雨も、苗木にとっては恵みの雨となるのだろう。



    やっぱり宮脇先生は、天気図を変える男だな。



    いつもどおりのシナリオに、ふとしみじみと、そんなことを思っていた。



    October, 2009

    宮脇昭先生テレビ出演のお知らせ (10月30日)

     
     

    さて、重めのブログが続きましたが、ここで、お知らせです。


     

    宮脇昭先生が、下記のテレビに出演されます。


    ご興味ある方は、ぜひご覧くださいませ。



    日 時 : 2009年10月30日(金)夜8時~8時45分(予定)

    放送局: テレビ東京系列

    番 組 : 『世界を変える100人の日本人』

    web: : www.tv-tokyo.co.jp/100japan


     

     

     

    October, 2009

    香川・菅組植樹祭へ (後編)


    2009/9/27


    香川滞在2日目の朝。丸亀のホテルを出て、電車で一路、詫間駅へ。再び、植樹祭の会場である菅組さんの本社へと向かう。天気は晴れ。香川県特有のからっとしたお天気で、植樹祭日和である。


    9時前というのにもかかわらず、会場には多くの人が集まっていた。今回の植樹祭の規模は、苗木53種類、約5300本、そして参加者は約600名である。社員さんをはじめ、ご家族、近所の方、関係会社の方々など、ありとあらゆる方が集まっての植樹祭。開会式では、植樹祭を計画された菅組の菅社長から、その思いが語られた。木を使う人が、森を育てる。今回植えられた木々が直接木材として利用されるのではないが、どこかで木が切られれば、その分どこかに新たな木を植え、バランスをとることがやはり最も自然なやり方なのだろう。

     

     

     


    宮脇昭先生の熱くもユーモアあふれる指導に、会場内は沸いていた。帽子をもってくればよかったというほどにまぶしい太陽の光を浴びながら、子供も大人も熱心に先生の話を耳を傾け、木の植え方を吸収する。もう、こんな光景を50回以上見てきたが、やはりどこへ行ってもまったく雰囲気は異なるし、どの植樹祭にもそれぞれ個性がある。どれが正解というわけでもなく、どれが間違いというわけでもない。ただ私は、やっぱり主催者の思いが伝わってくるような、人の心がより感じられるような植樹祭が好きだ。小さな子供からお年寄りまで、いろんな世代、職業の方が混ざっているほうが、より自然で気持ちよいと思ってしまう。結局は、自然も人も、多様性が大事ということなのだろうか。

     

     

     


    開会式終了後、それぞれの班に別れ、植栽地へと移動する。お手伝いを頼まれていた私ではあるが、菅組さんのスタッフさんは指導も見事だし、全然私の手など必要もない。安心して裏方に回り、子供に木の植え方を教えたり、苗木を運んだりと、自由にあちこち動き回る。日ごろ、土いじりをしていそうなお母さん、お父さん方は、手つきもいいし、次から次へと快調に苗木を植えていく。子供はといえば、ママやパパ、はたまたおじいちゃんやおばあちゃんにサポートを受けながらも、楽しそうに木を植えている。私の経験からすると、4歳にもなれば、ひとりで充分木を植えられるようになる。もちろん、2歳、3歳でも、ママ、パパがほぼつきっきりにはなるが、木を植える意欲を見せて楽しそうに土まみれになっているのだから、ぜひひとりでも多くのお子さんに植樹祭に参加してほしいと思っている。苗木を植え、稲わらを敷き、わらが飛ばないようにロープで抑える作業に入ると、参加者の皆さんは熱心に、そして満足そうな表情を見せていた。親子3代で参加されたというご家族の皆さんも、良い機会でしたと嬉しそうだ。きっと来年には、お子さんの背も越えるほどに、木々は成長しているだろう。

     

     

     


    一連の作業を終え、片づけをしていると、小さな女の子たちと話す機会があった。


    「今日、楽しかった人~?」


    3歳、4歳くらいのそのふたり姉妹。「はーーい!」とそろって元気よく手を挙げた。その光景を見ていたママとパパ、そしておじいちゃん、おばあちゃんの顔には、嬉しそうな笑みがこぼれている。


    「また見にきてくださいねー」


    そういって、ご家族をお見送りした。別の場所では、記念撮影をしようとカメラを準備しているご家族がいらっしゃる。「写真、撮りましょうか?」。そう声をかけてご家族3人の写真をおさめようとすると、シャイな男の子が走り回り、親御さんが困り顔。「すみません、言うこと聞かなくて。早くおいでー、お姉ちゃんが待ってくれてるでしょー」。そんな言葉も、どことなく温かく聞こえる。結局、きれいに並んでとはいかなかったが、後ろのほうで隠れている男の子もなんとかおさめて、記念撮影を終了。


    「ありがとうございました。いい記念になりました」


    きっと、男の子が大きくなったとき、この木々を自分で植えたとはきっと信じられないかもしれない。ましてや、そんな記憶が断片でも残っているかもわからない。それでも、やはり体を使って経験することで、何かが少しでも変われば、反応すれば、それは絶対に無駄ではない。どこかに経験がインプットされれば、それは写真以上にきっと価値のあることなのだろうと思う。


    正直、私がこの地を再び訪れ、木々の成長を見られるかどうかは、はっきりいって定かではない。それでも、地元の方々に時折森の成長を見てもらい、何かを感じて頂ければ、それだけでも私は十分だと思う。どこかで植えた木が、今日もすくすくと生きている。そう思えれば、私もどことなく爽やかな気分になる。それだけで、別に、いいのである。

     


     

    手直し作業に片づけを終えた後、菅組さんが参加者全員のために準備してくださった讃岐うどんをおいしく頂く。わざわざ製麺所の方を呼んで一杯ずつ丁寧に作るのだから、さすが、うどん大国讃岐である。シンプルで美味しいうどんを頂き、満腹になったところで、再び傾斜のきつかった植栽地に移動し、小一時間ほど手直し作業に傾注する。まぶしかった日差しも徐々に曇り空にさえぎられ、作業を終えたころには、グレーの空へと変わっていた。

     


    すべてのお手伝いを終えた後、身支度を整え、お世話になった菅組の皆様にご挨拶をして、仲間とともに会場を離れる。駅までの10分ほどのタクシーの中、「あぁ、そうだ、詫間城に行きたかったんだ」と思い出し、地元のドライバーさんに聞いてみるが、どうやら地元の人にもあまり知られていない城郭だったらしい。もしもまたこの場所に訪れることができたら、今度はぜひ詫間城にも行ってみよう。そんなことを思いながら、詫間駅から電車に揺られ出す。徐々に仲間たちと別れ、乗り継ぎの電車をひとりホームで待っていると、次第に雨が降ってきた。小雨ではなく、じゃんじゃんぶりの大雨だ。植えられた木々にはきっと、恵みの雨にほかならないのだろう。



    いつもどおりのお天気のシナリオに感心しながら、岡山行きの電車は、瀬戸大橋へと向かっていた。


     

     

    香川・菅組植樹祭へ(前編)

     
     

    丸亀城を後にした私は、電車に揺られて詫間駅へ。途中、仲間と合流し、詫間駅からタクシーで今回の旅のメインイベントである植樹へと向かう。

     

    今回この植樹祭を計画されたのは、香川の土地で創業100年を迎える建築会社、「菅組」さんである。もともとは宮大工としてスタートされたそうで、現在はその高い技術を様々な建築物に活かされているらしい。今回は創業100年を記念して、会社の敷地内で宮脇昭先生の指導による植樹祭が行われることになっていた。まったく初めての植樹祭ということもあり、少々のお手伝いをとお声をかけて頂き、私や植樹仲間はこの讃岐の国までやってきたのである。

     

      

    植樹祭を前に行われる講演会の会場へ到着すると、ふと、建物の造りに目がとまった。木が多用されていて、実に気持ちよい造りなのだ。市民会館のような多目的ホール風の建物なのだが、よくあるコンクリートなどの冷たい感じがなく、実にあたたかでぬくもりがある。聞けば、菅組さんが手がけられた建物だという。その話を聞いたときに、「あぁ、なるほどな」と、なんだか納得できるような気がした。木を使い、建物を造る。その企業が森をつくるのは、ごくごく自然な流れの発想なのかもしれない。

     

     

    宮脇昭先生に久しぶりにお会いした後、関係者の皆様へのご挨拶を経て、会場内へと入る。毎度のように先生からカメラを託された私は、話に耳を傾けつつ、シャッターチャンスを狙っていたわけだが、先生の調子もよさそうで何よりである。御年81歳。あと30年は頑張りますという先生の口調は、いつにも増して熱い。菅組さんの森づくりへの思いと、宮脇先生の情熱があいまって、これは絶対良い植樹祭になるだろうなと、舞台を眺めながら思っていた。結局のところ、森づくりも、ビジネスも、人が何より重要なのだろう。


     

      

    講演会終了後、菅組さんの本社へ移動し、すぐに翌日のためのリーダー研修が開始される。会社の周りを囲むように作られた植栽地には、すでに苗木や稲わら等が準備万端に整えられていた。菅組さんのスタッフさんや現場関係者、そしてボランティアの全員が集まり、夕刻からリーダー研修が開始される。すぐに分かったのは、スタッフさんが「ものづくり」のプロであるということだ。建築士の集団だけあって、当たり前なのかもしれないが、手際もいいし要領もいい。「あぁ、匠ってこういうことか」。すぐにそう納得した。宮脇先生の植樹指導に耳を傾け、内容を把握し、すぐさま実行に移す。しかも、皆さんの雰囲気があたたかく、気持ちよく、あぁ、良い会社だなと心の中で感じていた。

     

     

    リーダー研修は何の問題もなくさくさくと終了し、翌日の準備を終えた後、夕食の会場へと移動する。菅組さんや関係者の皆様とお食事をさせて頂くことになっていた私たちは、開始前、瀬戸内の夕焼けをぼんやりと眺め、「瀬戸内ってまろやかでいいなぁ」と口にしていた。瀬戸内沿いは、なんだかいつもやわらかく、まろやかでほっとする。四国を旅するたびに、私はいつもそんな感覚を覚えてしまう。人も土地もやわらかく、温かな香川で、植樹祭が迎えられることをありがたく思っていた。

     

     

    夕食会開始後、瀬戸内の美味しいお料理を頂き、すっかり満足して眠くなっていた私は、あとはホテルに戻って眠るだけとのんびりしていた。実際、翌朝は早いし、早目にベッドにもぐりたいと考えていたのである。しかし、そんな私に、予想だにしない展開が起きた。私のまったく知らぬうちに、サプライズが用意されていたのである。ちょうど2日前に誕生日を迎えていた私に、なんとバースデーケーキのプレゼントがあったのだから、もう驚きとしか言いようがない。突然の出来事にまったく状況が理解できなかった私だが、宮脇先生をはじめ、仲間や植樹関係者、そして菅組の皆さんにもお祝いされてしまい、嬉しいやら恥ずかしいやら。正直、こんなサプライズ、今まで受けたこともなく、何をどう言っていいのかわからない自分がそこにはいた。とにもかくにも、私の気がつかないところで計画してくれた仲間たち、そしてお祝いしてくださった皆様には感謝としか言いようがない。


     

      

    人生で一番驚いた、美味しい美味しいバースデーケーキだった。

     

     

    October, 2009

    宮脇昭先生新刊書のお知らせ

     

     

    さて、10月に入り、宮脇昭先生の最新刊が発売になりましたので、お知らせです。ご興味ある方はぜひどうぞ。

     

    タイトル: 『森はあなたが愛する人を守る』 

    価 格 : 1470円(税込) 講談社

    http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2155427&x=B

     

     

    今回は宮脇先生と、植物療法をすすめる池田明子さん(梅沢富美男さんの奥様)との、コラボ本です。

     

     「かわいい、おしゃれ、読みやすい、イラストも写真も豊富で盛りだくさん!」という新しいイメージですので、初めて先生の本を手にとる方にもオススメです。

     

    アマゾンや楽天ブックスでは送料無料の1500円に満たないので、1冊のみお買い上げの方は、ぜひ、一般書店などでどうぞ~。

     

     

    以上、お知らせでした。

     

     

     

    August, 2009

    植樹祭備忘録 vol.4

     

     

    712日の北海道千年の森プロジェクト植樹祭で、心に残った話をひとつ。 

     

     

    全ての苗木を植え終わり、稲藁を敷き、最後に、藁がとばないように押さえるロープ張りの作業に入った頃の話だ。

     

     

     

    私がお手伝いをしていた班には、来賓や小学生、そして多くの親御さんがいた。小学生は12年生の小さな子たちだ。まだ少し危なっかしいくらいの子供たちは、元気いっぱいに苗木を植えることを楽しんでいた。

     

     

    あちこち動き回っていると、私は8歳くらいの男の子の存在に気がついた。お母さんと一緒に苗木を植え、最後までしっかり頑張っていたひとりの子である。

     

    しかし、縄を張る作業に入った途端、その子はお母さんの様子を眺めたまま、じっとそのまま動かないでいた。

     

    さっきまで一生懸命やっていたのに、一体何が起きたのだろう。

     

     

    「ロープやらないの?」

     

     

    声をかけてみると、「ううん、いい」と首を横に振っている。

     

    「なんで?やってみようよ」と言うが、「僕、できないからいい」と恥ずかしそうに下を向いてしまう。

     

     一瞬どうしようかと思ったが、そこで止めさせたらもったいない。

     

     

    「簡単だから一緒にやってみよっか、できるから大丈夫」

     

     

    そう、声をかけることにする。

     

     

    しかし、男の子はなかなか動かない。

     

    数回誘ったあと、男の子はしぶしぶロープを手にとった。しかし、どうやったらいいのかとじっと固まっている。

     

     

    「じゃぁ、そこにしゃがんで、ロープを目の前の竹にぐるぐるってしてごらん。はい1回、2回、3回ぐるぐるしてごらん」

     

     

    ロープの縛り方をゆっくりじっくり教えながら、お母さんと一緒に男の子の様子をじっと見守る。手はできるだけ、出さないようにする。

     

     

    「よーし、できた、じゃぁ今度はここでやってごらん」

     

     

    そう言いながら同じ手順を繰り返させると、「うーん、うーん」と言いながらも、手をずっと動かし続けている。すぐにはうまくできないようだ。少し、難しかっただろうか。

     

     

     

    しかし、そうこうしているうちに、その子の表情は明るくなっていた。さっきまであんなに恥ずかしそうにしていたのに、イキイキとした顔に徐々に変わりはじめている。

     

     

    「えーっと、こうやって、こうやって」

     

     

    自分なりに縄と格闘し続け、できるまで何度も何度も繰り返している。

     

     

    「そうそう、上手、ほら、ひとりでできるようになった~。じゃあ、今度はこっちにやってごらん」

     

     

    数回繰り返した頃、私がもう何も言わなくとも、自分ひとりで次から次へとロープを張ることが出来るようになっていた。

     

     

    「ほらね、ひとりでできたね~、がんばったね~」

     

     

    少しはにかみながらも、とても嬉しそうに、誇らしそうに、男の子はお母さんの顔を見上げていた。

     

     

     

     

     

    最後の作業を終えた頃、たくさんいた小学生の子供たちに、こんな質問を投げかけてみた。

     

     

    「今日、楽しかった人~??」

     

     

    「はーい!!!」

     

     

    目の前にいた10人くらいの子供たち。大声で返事をしながら、一斉に手を挙げていた。

     

     

     

     

     

    「どうもありがとうございました」

     

     

     

    帰り際、そう声をかけられた。ロープ張りがひとりでできるようになった男の子のお母さんだ。

     

     

    私に深く頭を下げ、お子さんと一緒に笑顔でその場を後にされた。

     

     

     

     

     

    この日、誰かの何かが、ほんの少しでも変わっただろうか。

     

     

     

    そんなことを、ちょっとだけ、帰りがけに願っていた。

     

     

     

     

     

     

    August, 2009

    植樹祭備忘録 vol.3

     

     

    今回もまたまた、植樹祭備忘録です。

     

     

    2009712

     

    北海道千年の森プロジェクト植樹祭 (北海道小樽市浅里川)

    苗木:ミズナラ、ナナカマド、カシワなど20種類、約5000

    参加者数:約1000

     

     

    今年で3年目となる北海道千年の森プロジェクト主催の植樹祭。小樽市の有志の方を中心に、小樽市行政、商工会議所、教育関係などなど、官民一体となって植樹祭を行っている素晴らしい皆さんです。何しろその熱意とパワーには毎回感心してしまいます。

     

     

     

    植樹祭前日に行われたリーダー研修。冒頭、宮脇先生の檄が飛びます。

     

     

     

    斜面での研修開始。リーダー研修は一番厳しいところをやるのが鉄則です。

     

     

     

    植樹祭当日。約1000名が植樹会場に集まりました。

     

     

     

    開会式では宮脇先生のユーモアたっぷりの植樹指導。毎度おなじみですが、来賓に木の名前を大声で連呼させ、参加者の笑いを誘います。

     

     

     

    来賓に小学生、親御さんという班をお手伝いしていたため、あまり写真がとれてません。。。すでに、苗木を植え終わってます。

     

     

     

     

    ロープを張ってすべて終了です。斜面のところは時間がかかって大変ですが、みなさん最後までしっかりやってくださいました。

     

     

     

     

    これほどまで官民のバランスのとれた植樹祭を行うところは、そうそうないだろうといつも感心しています。

     

     

    また次の植樹祭も楽しみにしております。

     

     

     

     

    August, 2009

    植樹祭備忘録 vol.2

     

     

     

    今回も再び、植樹祭備忘録です。

     

     

    200967日(日)

     

    日テレTouch ! Eco 2009生放送植樹祭 (神奈川県平塚市 進和学園)

    苗木:タブノキ、スダジイ、シラカシ、アカガシなど52種類、約3500

    参加者数:約200

     

    日本テレビは2年連続でTouchEco 生放送の植樹祭を行いました。今回は平塚で長年活動されている「進和学園」さんの進和万田ホームでの植樹祭。生放送ということもあり色々と段取りも大変でしたが、朝から夕方までみっちり動き、楽しい植樹祭でした。

     

     

     

    植樹祭の前のリーダー研修にて。宮脇先生の熱のこもった指導で、全員ひたすら木を植えます。

     

     

     

    開会式にて。生放送の前に先生の指導が行われます。

     

     

     

    生放送開始。今年も村尾キャスターと麻央ちゃんが一緒です。 

     

     

     

    生放送開始後4時間近くたって無事にエンディング。苗木も無事に植わり、皆さんご満足のご様子でした。

     

     

     

    さて、来年はこの日テレ企画どうなりますでしょうか。乞うご期待(?!)。

     

     

    August, 2009

    植樹祭備忘録 vol.1

     

     

    うっかり、いや、ずるずると遅れているブログですが、さぼっていた?間にも宮脇昭先生指導の植樹祭に参加していたので、念のため備忘録として記録を残しておこうと思います。ちゃんと書けって感じですが、もうだいぶ前のことなので、簡単に記しておきます。なにとぞご了承を。。。

     

     

    2009523日(土)

     

    横浜ゴム新城工場 YOKOHAMA 千年の杜プロジェクト植樹会  (愛知県新城市)

    苗木:アラカシ、モチノキ、タブノキ、サカキなど44種類、12000

    参加者数:約1000

      

     

     

    開会式にて、苗木の名前を3回連呼させる宮脇先生の巻。

     

     

     

    社員さんの家族も多く、子供さんたちも楽しげ。

     

     

     

    苗木の後は稲わら敷きの作業です。

     

     

     

    植樹終了後、全員で名前をボードに残します。

     

     

     

    宮脇先生もご満悦のご様子。この図はなかなか見られないかも。

     

     

     

     

    歴史深い新城での植樹祭。いつもどおり横浜ゴムさんの素晴らしい意気込みと丁寧な仕事ぶりに、毎度ながら感心してしまいました。

     

     

    本当に、あたたかくて良い会社です、浜ゴムさん。感謝感謝です。

     

     

     

     

    June, 2009

    ReNaFoの森づくり vol.6

     

    2009/5/9(分)

     

     

    (前回から続く)

     

     

    3000本の苗木が無事に植えられた植栽地には、恵みの雨が降り始めていた。ポツポツではなく、ざぁざぁと、だ。大粒の雨を全身で受けながら、人もまばらな植樹祭会場で片付けに勤しんでいると、声がかかった。いったん、お昼にしましょうと。

     

    ]

     

     

    びしょ濡れになりながらも一度宿泊先へと戻り、ご飯を食べてリセットしたところで、再び雨の植栽地へと舞い戻る。片づけは終わっていたが、植栽地の手直しがまだだった。斜面の厳しい場所や、面積の広いブロック、また、慣れてない方が多かった班というのは、最後のチェックと手直しが欠かせない。苗木が倒れていないか、きちんと植えられていないか、稲わらがきちんと敷かれているか、ロープはしっかり結ばれているか。そんなことを、雨でぐしょぐしょになりながら、植栽地にはりついて確認する。雨に打たれながらの作業というのは、普段の数倍の疲労感がある。なぜだろうか。視界がさえぎられ、体温が下がり、そしてエネルギーが奪われていくのが、よくわかる。周囲に飛び散った泥まみれの稲藁を手で集め、敷き藁の追加材料にするが、やはり雨でぐちゃぐちゃになった藁というのも、普段の数倍、扱いが難しい。天気によって、作業の効率がどれだけ鈍るのか。そんなシンプルなことも、今更ながら痛感してしまう。

     

     

    2時間弱の雨の中の作業を終え、もう、これで十分かと全員が納得したところで、植栽地を離れる。ここまで全身ずぶ濡れになったのは、小学生か中学生の頃の、夕立ちの帰り道以来か。冷えて重い体を引きずりながらも、心はなんだか満たされていた。最後まで、よくやり抜きましたという達成感と言えるだろうか。とはいえ、再び宿泊先へ戻り、シャワーを浴び、身支度を整えたところで、私のエネルギーは完全にゼロになった。立っていられず、ひたすら横になり、荷物も運んでもらう始末だった。

     

     

    帰り道のエネルギーくらい、残しておくべきだっただろうか。

     

     

    よく働き、よく動き、よく笑った、ReNaFoの森づくり。

     

     

    この植樹祭は、きっと一生、忘れられないだろう。

     

     

     

     

    ReNaFoの森づくり vol.5

    2009/5/8(分)

     

    (前回から続く)

     

     

    宮脇昭先生や来賓の方の植樹ブロックでは、驚異的な早さで作業が進められていた。苗木を植え、稲藁を敷き、そしてロープで藁をおさえるという一連の作業が、見る見るうちに終えられていく。さすが、先生の気迫があると、早さも違う。あれだけすごい数のカメラに囲まれながらも、宮脇先生や来賓の手が止まらなかったのだから、やはり木を植えることに夢中になっていたということだろうか。不思議な魅力と、奥深さが植樹にはある。これまた、いつもながら納得である。

     

     

     

     

    作業がひと段落したところで、託されていた宮脇先生のカメラを先生に返し、私は自分のブロックに移動することにした。ぬかるみの中を進み、自分の班へ向かう。すると、そこには、まだまだ作業が進んでいない、折り返し地点といった様子が広がっていた。

     

     

    「なんで、こんなに作業が進んでないの・・・?」

     

     

    あまりの様子に、思わずそう目を疑ってしまう。そこでよく観察してみると、どうやらほぼ全員が初めての植樹であり、そしてまたほぼ全員が、「汚れちゃ大変」という格好の参加者のようであった。そうなれば、作業に時間がかかるのも納得である。とりあえず、終わらなければみんな困るわけで、私はなかなか進まない作業をえーいと後ろから進めてしまうことにした。が、ほぼ同い年と思しき女性が沢山いらっしゃったので、作業をしながら、「うーん私、女の子らしさ、ゼロだな」といささか反省する。キラキラで可愛いネイルを施した女性らしい手に、ふとそんな引け目を感じてしまった。

     

     

    他の班に大きく遅れをとりながらも、なんとか作業は終了した。傾斜がきつい植栽地ということもあり、手直しは必要だったが、それでもとりあえず終わった頃には、ほっと安堵を覚えていた。

     

     

     

     

     

    「お疲れ様でした~」

     

     

    そう声をかけながら、楽しそうな顔で帰っていく参加者を見送り、片付けに勤しむ。植栽地を片付け、ありとあらゆる物を運び、ふっと気がつくと、なんと灰色の空から大粒の雨が降り始めていた。

     

     

    「あ、降ってきた」

     

     

    植樹祭の間は、天気もきっと味方してくれたのだろう。しかし、驚いたのは、その後だった。

     

     

    そう、なんと少し前に、宮脇先生が会場を離れられていたのである。

     

     

    「先生、もうちょっといてください~」

     

     

    冷たい雨を全身で受けながら、仲間とともに、そんな言葉を口にしていた。

     

     

     

    June, 2009

    ReNaFoの森づくり vol.4

    2009/5/7(分)

     

     

    (前回から続く)

     

     

    グレーのどんより雲は、今にもわぁっと泣き出しそうな顔をしていた。しかし、植樹祭はとりあえず無事に始まっていった。宮脇昭先生のカメラを片手に植栽地へと移動するが、前日までの大雨で、植栽地までの道はすでにぐちゃぐちゃどろどろ状態になっていた。レインブーツを履いていても、そのぬかるみに苦戦するのだから、スニーカーやサンダルで来ていた人は、よほどのことになっていたに違いない。

     

    ぐちゃぐちゃの道を進み、植栽地に到着るやいなや、宮脇先生は苗木を片手に、すごい勢いで自ら木を植え始めた。すぐそばにいらっしゃった来賓の松沢神奈川県知事や小林麻央ちゃんも、先生の声と勢いに押されるように、次から次へと木を植えている。もちろん、周りはマスコミや広報関係者、それに一般のファンの方がぐるりとかこみ、写真ラッシュですごいことになっている。しかし、当のご本人たちはとても楽しそうに、そして夢中に、木を植え、稲藁を敷きと作業をしているのだから、なんだか私は面白くなってしまう。

     

     

     

     

     

     

    カメラ片手にあちこち飛び回っていると、ふと空の変化に気がついた。雨の気配が、完全に消えていたのである。さっきまでポツポツ雨粒が落ちていたのに、気がつけばそんなことも忘れてしまうほどだった。相変わらず、宮脇先生は、「天気図を変える男」だ。何度も経験しているので、いまさら不思議とは思わないが、先生は本当に、不思議な力を秘めている。いや、逆に、自然が味方をしてくれると言ったほうがいいだろうか。そのどっちでもあるとは、もちろん言うまでもないのだが。

     

     

    空を仰ぎ見ながら、私はただ、敬服するしかなくなっていた。

     

     

     

     

    ReNaFoの森づくり vol.3

     

    2009/5/6

     

     

    湘南国際村で迎える最後の朝。連休の最終日に行われる「NPO国際ふるさとの森づくり協会」主催の植樹祭、当日である。お天気は生憎の曇り空だが、なんとか雨はもってくれるだろうか。そんないささかの不安を覚えたまま、身支度を整えて植樹祭会場へと向かう。前日まで準備していた植栽地は、なんだか気持ちが良さそうに見えた。3000本の苗木が植えられたあと、この景色はきっと一変するのだろう。

     

     

     

    会場には、植樹祭関係者、地元スタッフをはじめ、多くのボランティアの方が続々と集まり始めていた。時折雨粒が落ちる空の下、準備作業をしていると、次から次へと人が集まり、次第ににぎわいを見せてくる。宮脇昭先生やご来賓の方々、そして日テレNEWS ZEROの取材クルーに、小林麻央ちゃんの姿も見える。こうなると、嫌でも会場はそわそわしはじめる。傾斜のある野原で開会式が行われることになっていたが、小雨が時折降ることもあり、傘を差す人もところどころいる。なんとなく心配な、天気模様である。

     

     

    いつものように宮脇先生にカメラを託された後、写真を撮るために開会式会場をあっちこっちに移動していた。時々、おーいと声をかけられたり、手を振られたり。そこかしこに知り合いがいて、なんだか不思議な楽しさである。周りには、レインコートを身にまとい、長靴を履いてのばっちりさんもいれば、ハイヒール姿でよく知らずに来ちゃいましたさんもいて、それはそれで、なんだかちょっと面白い。それでも、みな、木を植えに来ているのだから、楽しみ方は人それぞれというものだろう。私はと言えば、当たり前だがそれなりに汚れてもいいような恰好なのだが、植樹の現場でしか会わない人たちは、きっと普段の私を見ても気がつかないかもしれない。それくらい、最近、「なんか、完全に現場関係者だね」と言われてしまうのである。まぁ、オンとオフできちんと切り替えができていればいいのだろう。どちらがオフなのか、それはある意味自分でもよくわからないのだが。

     

     

     

    主催者挨拶、来賓挨拶と続き、宮脇昭先生の植樹指導が始まると、会場内は一層笑いが起こる様になっていた。なにせ、宮脇先生が、神奈川県知事や小林麻央ちゃんにもステージ上で苗木を持たせ、いつものように木の名前を大声で3回、いやそれ以上繰り返させるのだから、面白くてみな大笑いである。宮脇先生は、いわばある種の、エンターテイナーとも言えるのかもしれない。数え切れないほどの現場で見てきて、私はそんなことを思うようになっていた。

     

     

     

     

     

     

    大盛り上がりの開会式が終了し、参加者はそれぞれのブロックに移動を始めていった。時々雨粒は落ちてくるが、まだ空は味方をしてくれている。

     

     

    「あと1時間、ちょっと待ってて。」

     

     

    心の中で祈りながら、宮脇先生を追うことにした。

     

     

     

     

    June, 2009

    ReNaFoの森づくり vol.2

     

    2009/5/5

     

     

    湘南国際村で迎える朝。早くから朝ごはんを作り、身支度を整えて、9時前にIGES、地球環境戦略研究機関の育樹祭へ。ちょうど1年前に植樹祭で行ったIGESでは、1周年を記念して育樹祭が開かれることになっており、昨年同様お手伝いを頼まれていた私は、仲間とともに裏方として働くことになっていた。

     

    連休中にもかかわらず、朝早くから約100名の参加者、関係者が開会式の会場へと集まっていた。大抵が、昨年も参加した方々で、1年ぶりにお会いする方が何人もいらっしゃった。現場での再会というのは、なんだかいいものである。リーダー研修後の開会式ではIGES理事長のご挨拶、そして宮脇昭先生の熱とユーモアのこもった育樹指導と続き、会場内は笑いに包まれていた。

     

     

     

     

    朝から天気が危ぶまれていたが、雨が降ることもなく、曇り空の下参加者が現場へと移動していく。1年で苗木は着実に大きくなり、その成育ぶりに感嘆の声さえ聞こえる。木の高さを自分の体で測ったり、写真をとったり。1年という目に見えない時間の流れと、目に見える木々の成長。参加者は、そんな大きくなった木々に囲まれながら、雑草を抜く作業に没頭していく。一見、苗木か雑草か判断できないほどに、雑草がたくましいのだが、実際、抜くのもかなりの一苦労である。大人2人がかりで、ひぃひぃ雑草と格闘したりもする。しかし、そんな雑草たちも、抜いたあとは裏返しにして、敷いてある稲わらの追加材とさせる。それにより、いずれ土に分解されて苗木の栄養になる。そしてまた、IGESで出された生ごみも、堆肥化されて、この苗木たちの栄養となる。無駄にせず、すべてを有効活用だ。

     

    小一時間の作業を終えたころ、参加者は汗だくになりながらも、顔には笑みがこぼれていた。満足そうに木々を眺めたり、記念撮影をしたり。それぞれ、充実した時間を送られたようだ。作業終了後には、全員で記念撮影、そして閉会式を迎える。宮脇先生から高評を頂き、また1年後もぜひ育樹祭をという言葉で、幕は閉じられた。

     

     

    片づけを終えて関係者にご挨拶をした後、次は大急ぎで「ReNaFoNPO国際ふるさとの森づくり協会)」の植樹祭準備へと向かう。時間が押していたため、お昼ごはんもろくに食べず、降りだした小雨の中、ひぃひぃ言いながら重い苗木をひたすら運ぶ。本来ならトラックに載せる苗木を、急遽手で運ぶことになったのだが、なにせ、20本の苗木をトレイに乗せて10分以上歩くのは、かなりのしんどさである。やっとの思いで植樹祭の現場にたどり着いたところ、雨はほとんどあがっていた。

     

    お昼過ぎから行われたリーダー研修には、地元のボランティアや関係者が多く集まっていた。運良く雨もやんでおり、植栽地を前に、宮脇昭先生の指導にも熱が入る。いつもより、どことなく、気迫が強い。全国各地の植樹祭でご一緒させて頂くが、現場現場によって主催者も関係者も、そしてボランティアも変わるわけで、宮脇先生の指導も相手に応じて変化する。今回は、初めてリーダーを受け持つ方、初めて木を植える方も多かったためか、先生は普段より懇切丁寧に、そして同時に厳しく指導にあたっていた。雲はもう、どこかへ消えたようだった。

     

     

     

     

    気合いに満ちたリーダー研修が終わり、宮脇先生が現場を離れた後、雲行きが一気にあやしくなり始めた。そして、土砂降りの雨である。晴れ男の異名は、やはり、伊達ではない。「先生、お願いだから、もうちょっといて~」、そんな声が、あちこちから漏れるほどだ。そして、翌日の植樹祭を控えていた私たちは、苗木3000本を運ぶという、雨の中には最もふさわしくないような作業に勤しむことになる。苗木を置かせてもらっている場所から、車2台で植栽地へとピストン輸送。車で一体、何度往復したのかわからない。レインコートを着ていなかった私は、頭からびしょぬれで、滝での荒行のようになっていた。とはいえ、総勢30名近くのボランティアスタッフは、全員作業の手を休めることもなく、ただひたすらもくもくと苗木を運ぶ作業に傾注していた。多くの人の心と、努力がなければ、植樹祭は成り立たない。またしても、そんなことを大雨の中、体感していた。

     

     

    夕方4時頃、大雨の中の作業がようやく終了する。恐ろしいほどに寒く、このまま風邪をひいて熱を出すのではないかという不安さえ覚えてしまう。大急ぎで宿泊先へ戻り、熱いシャワーを浴びてほっと一息ついたところで、前日と同様に買い出しに出掛け、夕食を作りという時間が過ぎていく。そしてふたたび、「こんなに料理をする人だったとはびっくりだ」、「人は見かけによらないねぇ」という、褒められているのか、けなされているのかよくわからない言葉を頂きながら、1日を終えた私なのであった。

     

     

     

     

    ReNaFoの森づくり vol.1

     

    2009/5/4

     

     

    朝早く、電車とバスを乗り継ぎ、神奈川県の葉山へ。葉山というと聞こえはいいが、別にバカンスでも避暑でもなんでもない。連休シーズンとは言え、私はまたしても働いていた。仕事というよりも、ボランティアの作業である。

     

    目的地の湘南国際村に到着し、仲間や関係者と合流する。ここ、湘南国際村で行われる「NPO国際ふるさとの森づくり協会/ReNaFo」主催の植樹祭が2日後に迫っており、その準備作業のお手伝いにやってきたのである。

     

    10時に、作業現場としてお借りしているIGES、地球環境戦略研究機関で全員と合流後、植樹で使われる縄を用意するという地味ぃな作業に10名弱で没頭する。植樹祭では、苗木を植えた後、稲わらを敷き、そのわらが飛ばないように縄でおさえるのだが、そのための縄の準備作業を行うのだ。業務用の100メートルの縄を12メートル、18メートルに切り分け、作業しやすいようにまとめるという手順。これを、何十回も繰り返す。午前中に2時間、午後にも2時間ほどこの単純作業を繰り返すが、何せ、単調なので、時折面白い話をはさんだり、笑い話をしながら手を動かす。しかし、こういう地味ぃな作業があるからこそ、植樹祭は成り立つのである。当日の華やかな植樹祭の陰には、多くの人の力がある。そんなことを、身をもって感じ入る。

     

     

     

     

    爽やかな暑さのなか、ひたすらロープに向き合ったのち、IGESから歩いて10分ほどの植栽地へ移動し、縄の取り付け作業へと取り掛かる。当たり前だが全て手作業。しかし、現場での作業は、やはり楽しい。海も見えるし、心なしか、テンションが上がる。縄の配置や、他の準備を終えた後、4時頃に当日分の作業をひとまず終了。市民主催の植樹祭は、多くの人の善意と努力の賜物だ。そんなことをしみじみと痛感しながら、みなで現場を離れた。

     

     

     

     

     

    宿泊先へ戻り、仲間と買い出しに出掛け、その後共有のキッチンで夕食作り。のん兵衛は早々に飲み始め、私を含めた女子は夕食やつまみ作りに勤しみ始める。が、人並みに夕飯や、お酒に合うようなおかずを作ったところで、一緒にいた大人の男性陣から口々にこう驚かれる。

     

     

    「いやぁ~、人は見かけによらないねぇ~」

     

    「こんなに料理ができるとは、びっくりだ~」

     

     

    褒められているのか、けなされているのか。口をそろえて、「褒めてるんだよ~」と言っておられるのだが、私にはどうもしっくりこない。どうやら、「お酒は強そうで、料理は出来なそうな女子」というイメージがあったらしい。実際には「全く飲めない下戸で、人並みに料理も好きな女子」なのだが、どうやら世間が持つイメージと実物にはかなりのギャップがあるらしい。ハッキリ言って、腑に落ちないし、いささかのショックである。

     

     

    わいわい飲み、がやがや騒ぎの大人たちを見ながら、学ぶことの多い一日が過ぎていった。うーむ。

     

     

     

    秦野・千年の杜植樹祭へ vol.5

     

    2009/5/3

     

     

    (前回から続く)

     

     

    初夏を思わせる暑さの中、千年の杜植樹祭が始まっていった。傾斜のきつい植栽地にたどりつくと、20名ほどの参加者は、よいしょとよいしょと植栽地の段々を登っていく。なぜか私は、傾斜の厳しい植栽地や、子供たちの多いブロックなど、少々大変な班をリーダーとして受け持つことが多い。誰が班分けやっているのかよくわからないが、ま、当てにされているのか、過酷な場所でひぃひぃ頑張りなさいということなのか、それはいまいちよくわからないが、この日も少々きつい環境のブロックを担当することになる。

     

     

    とは言え、参加者の多くの皆さんは、「去年も来ました」というような頼もしい方たちで、一連の説明をしたあと、すぐに手際よく作業は進んでいく。周りを見渡せば、7000本強もの苗木が、参加者1000名の手によって、見る見るうちに大地に植えられている。私の班には、なんとなく連れてこられた風な小学生と思しき男の子もいたが、次第に自分から進んで動き始め、苗木を植え、稲藁を敷き、縄を張りと、手を止めることなく、作業に没頭していた。1時間弱の作業も、熱心に、途中で帰ることもなく、最後の片付けまで手伝ってくれたのである。もしかしたら、途中で何か楽しさに気がついたのだろうか。そうだとしたら、なんだか嬉しい。

     

     

     

     

    自分の担当班が植樹を終了したのち、手直しをし、近くの班の手伝いをし、片づけをしとしていると、あっという間に夕方になっていた。真上にあった太陽も、気がつけば遠く斜めから、控えめに照らしている。暑さも涼しさへと変わり、一日が過ぎようとしていた。

     

     

     

    作業に使われたスコップや苗木のトレイ、バケツやごみなどの片づけを手伝い、人のいない植栽地を眺めたら、なんだか清々しい気分になっていた。3年後、5年後には、神奈川病院の前に、きっと気持ちのよい森が出来ていることだろう。癒しの森になるか、生命力あふれる森になるか。きっとエネルギーに満ちた、健やかな森ができあがるのだろう。

     

     

    そんなことが、今からもう、楽しみになっていた。

     

     

     

    June, 2009

    秦野・千年の杜植樹祭へ vol.4

     

    2009/5/2

     

     

    (前回から続く) 

     

     

    植樹祭のリーダー研修を終えた頃、すでに開会式となる神奈川病院前の体育館には、1000名近い参加者が集まっていた。秦野の「いずもさん」こと、出雲大社相模分祠が中心となって行われる千年の杜植樹祭は、これで3年目になるだろうか。会場内には毎年参加している人もあれば、新しく初めて訪れた人もいらっしゃる。そして、3年前の植樹祭にも参加されていた伊勢ヶ濱部屋の力士のみなさんも大勢駆けつけていた。会場内には、どことなく鬢付け油の香りが漂っている。主催者、来賓が並ぶ壇上には、なんと後に初優勝を飾ることになる大関日馬富士の姿もある。なんだか、不思議で面白い植樹祭の開会式である。

     

     

     

    1000名の参加者を前に、主催者挨拶、来賓挨拶が続き、宮脇昭先生の恒例の植樹指導となる。いつもどおり、歯に衣着せぬ面白い宮脇節ではあるのだが、なにせ、大関にまで苗木を持たせ、木の名前を3回繰り返させるのだから、観客はもう大喜びだ。どうやら社会貢献のできる、新しいタイプの相撲部屋を目指しているらしい伊勢ヶ濱部屋だが、これからの相撲界はなんだかすごいことになるんじゃないかと、内心楽しくなってしまう。

     

     

    笑い溢れる開会式を終えたのち、それぞれの班に分かれ、植栽地を目指して移動を開始することになる。宮脇先生のカメラ係と植樹リーダーを兼ねている私は、いつもこの段階で大わらわだ。宮脇先生にカメラを返すと同時に、植栽地に向かって全力疾走。どっちも外せないわがままな私がいけないのかもしれないが、このときもまた、もう一人のリーダーに誘導をまかせつつ、ダッシュで植樹班に合流することになる。毎回ギリギリセーフといった具合だが、どっちもボランティアだから多めに見てね、そんなことを思ってしまう。

     

     

     

    傾斜厳しい植栽地に到着したところで、いよいよ植樹の開始となる。

     

     

    まぶしいほどの爽やかな空の下、体と心を解放させる時間が、こうしてようやく始まっていった。

     

     

    (次回へ続く)

     

     

     

    June, 2009

    秦野・千年の杜植樹祭へ vol.3

     

    2009/5/1

     

     

    (前回から続く)

     

     

    宮脇先生と合流したのち、この日のリーダーを集めての事前研修へと向かう。いつも植樹祭では、当日か前日に全てのリーダーを集めて研修を行うのだが、ここでの宮脇先生というのは非常に熱と気合いが入っていて、慣れている私でも気が引き締まる思いである。この日集められたリーダーたちは、経験者も多かったためスムーズに事が進んだが、急斜面であること、植栽地の奥行きが狭いということもあって、大の大人たちが奮闘している。

     

     

    「動かない!踏んでも土が硬くなる!」

     

     

    植栽地のマウンド、つまり土というのは、いわばスポンジケーキのようにふわふわと空気が入っていることが望ましいのだが、人間が歩きまわり土を固めてしまうと、まるでこんにゃくや羊羹のようにぎっちりと固くなってしまい、空気が入る隙間がなくなってしまう。こうなると、植物にとっても酸素をとりにくく、根を張りにくく、生育が妨げられてしまうわけだ。そのため、宮脇先生は、「できるだけ、動かないように、バケツリレーで渡してください」と、毎回どの植樹祭、リーダー研修でも口にされる。植樹前に歩きまわって土を固めてしまった場合には、必ず大きなシャベルで土を掘り返し、空気を入れるように指示をされる。この作業、実に地味で、実にしんどいのだが、一度でも経験をした者であればその重要性はわかる。マウンドの状態か良いか悪いかで、木の生育に大きな影響が出ることは明らかなのだ。

     

     

     

     

     

    宮脇先生の檄が飛ぶ中、大勢のリーダーは苗木を植え、稲藁を敷き、縄を張るという一連の作業を終えていく。

     

     

     

    「本番は、みなさんが、宮脇昭以上になって指導してくださいね。リーダーですから」

     

     

     

    そう言って、笑いをとる宮脇先生。優しいまなざしが戻る瞬間だ。

     

     

     

    麦わら帽子が大活躍の、晴れ渡った空の下。

     

     

     

    現場をいったん離れ、開会式へと向かうことにした。

     

     

     

    (次回へ続く)

     

     

     

    June, 2009

    秦野・千年の杜植樹祭へ vol.2

     

    2009/4/30

     

     

    (前回から続く)

     

     

    植樹祭の現場へと到着した私は、まず最初にと宮脇先生のもとへ走って向かっていた。

     

     

    「せんせ~、おはようございます~」

     

     

    そんな風に声をかけながら近づくと、先生はあっと気がついて、こちらを向かれる。

     

     

    「やぁやぁ、あやのちゃん。よく来ましたね。今日もよろしくね」

     

     

    毎回、先生との会話はこんな感じで始まっていく。

     

     

    「先生、昨日どこでした?」

     

     

    見たところ調子が良さそうな宮脇先生。前日、どこにいらっしゃったかは、毎回私が質問するポイントだ。

     

     

    「外モンゴルから帰ってきたばかりでね、でも、元気ですよ。モンゴルは黄砂がすごくてね」

     

     

    どうやら、モンゴル政府から頼まれて植生の調査に出かけていたようだ。しかも今回は、News ZEROの取材クルーも密着していたらしい。相変わらず、81歳の宮脇先生は、いつどこでお会いしても常に忙しい。

     

     

    「じゃあ、あやのちゃん、これよろしくね。好きなだけ撮っていいですから。アップでね」

     

     

    そう言われながら、私は先生のカメラを託される。植樹祭での私の役目は、先生の写真係だ。いつからそうなったのか、はっきりは覚えていない。しかし私が現場にいれば、毎回必ず先生からお役目を頂くのだから、ありがたやというものだろう。

                                              

     

    「麦わら帽子、ひとつ余ってますから。あやのちゃんも、かぶりなさいね」

     

     

    先生にそう言われて、私もなぜか麦わら帽子をかぶることになる。

     

     

     

    先生の、トレードマークの麦わら帽子。はたして、私は似合っているのだろうか。

     

     

     

    麦わら帽子の時間が、こうして始まっていった。

     

     

     

    (次回へ続く)