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July, 2009 日常の中で 5
2009/6/6
そういえば、私は、土曜日の午後が好きだ。
次の日も休みだし、まだまだしばらく時間もある。
そんなゆるゆるとした感じが、私はなんとなく好きなのである。
いつかとある方が、こんなことを言っていた。
「翌朝ゴルフの日は、ものすごく嬉しくてわくわくするのに、日曜の夜は、ほんと憂鬱なんだよね」
みんな、そうやって、一週一週、乗り越えているんだな。
そんなことを、たまにしみじみと、思ったりしています。
日常の中で 4
2009/6/5
金曜の夜。電車に乗るたびに、よく思う。
みんな、なんか、妙に浮かれている。ふらふらしたり、笑ったり。大声で話したり、お酒を飲んだり。翌日を気にせず、お酒を飲んで楽しめるという花の曜日。
いろんな人がいるけれど、誰もがみんな楽しむ権利を謳歌しているような、そんな気もしてしまう。
だってまぁ、みんな、人間だもんね。
満員電車に、暑いスーツ。上司に部下に、取引先。
サラリーマンは、大変です。
私もある種のサラリーマン、なのだけれども。
July, 2009 日常の中で 3
2009/6/4
世間的に見れば、誰もから「すごいね」と言われそうなポストに就いているとある方。
そんな方から、ふいにこんな言葉が洩れてきた。
「最近、へこんでました」
羨ましがられるというのは、裏を返せばそれだけ気苦労があるし、人よりも努力が必要ということなのだろう。
素直な気持ちを吐露してもらえるような、そんな人になりたいな。
少し、そんなことを思ってみた。
日常の中で 2
2009/6/3
あれほど毎年、ぎゃあぎゃあと騒いでいた「クールビズ」への移行。
そういえば、今年は誰も何も言わずに、すぅーっとスムーズに周りが夏仕様に変わっていった。
人間、慣れというのは、やっぱり極めて重要なんだな。
日常の中で 1
2009/6/2
新しい何かを始めるよりも、これまでの何かを止めることのほうが、実はもっと、勇気と勢いがいる気がします。
コンサバな性格、だからでしょうか。
July, 2009 「じゃけぇカープが好きなんよ」 vol.18
2009/6/1
(前回から続く)
そんなわけで私の広島カープ熱に関しては、あちらこちらから色んなことを言われているわけだが、それでもやっぱり試合結果を毎日チェックしたりするのは楽しいし、できることなら試合をこれからもっと見てみたいなぁと思っているわけである。
なかでも私が好きなのは、カープグッズのセンスの良さ、可愛さというのもあるのだが、これを私が熱く語っていたところ、「そんなに好きならカープで働けっ!」と突っ込まれてしまった。「でも、給料安いと思うけど」という落ちもついていたが、これにはうけた。さらには、「そんなに好きなら、広島に引っ越せ!」、「広島で働け!」というものもある。うーん、なかなか魅力的な話でもある。
とは言え、実際問題、関東にいると、カープの情報というのはなかなか入ってこない。スポーツニュースでは野球の最後のほうにちょこっと紹介されるだけだし、新聞でも写真なんかが出ていることはあまりない。
「なんで、カープってあんまり報道されないの~」
そう、私が野球ファンに愚痴をこぼしたところ、
「中国新聞を見ろっ!そしたら、カープが嫌ってほど載っている!」
と、教えてくれた。ほぉー。そんなわけで、私のお気に入りには、中国新聞のウェブサイトが入っている。そして、時折、チェックもしている。そんなことまでしているのだから、ある意味、おバカさんと言われても仕方ないだろう。
しかし、カープを好きになってからというもの、もともと広島県好きだった私には拍車がかかっている。カープの試合が見られるというお好み焼き屋に行き、広島焼きを食べ、紅葉まんじゅうを食べる。さらには、尾道帆布でバッグを作り、そしてまた今度いつ広島に行けるだろうかなんて、頭の中を始終めぐらしている。1年前、尾道に行った時は、こんなこと予想だにしなかったのに、人生とはやっぱり、謎に包まれているものである。
とは言え、実際には、多くの人から指摘を受けるように、野球の「いろは」が私は全然分かっていない。まだまだ専門用語、とりわけ漢字の用語がわからないのだ。本塁打がホームランという意味だと知ったのは、カープを好きになってからだし、遊撃手がショートだということを知ったのは、カープを好きになってから2か月近く後になってからだ。それくらい、私は野球に疎い人間なのである。というか、基本を知らない人間なのだ。
いや、それでも、別に私はいいのである。
結局のところ、私が好きなのは野球自体というよりも、ただ、熱い広島カープなのだから。
「コイに恋して」
そんな言葉がぴったりの、29歳女子なのであった。
(おしまい)
「じゃけぇカープが好きなんよ」 vol.17
2009/5/31
(前回から続く)
ある時を境に広島カープのファンになってしまった私。そんな私を見る人々の反応というのは、実に様々で不思議なものだった。
「は?野球?しかも、カープ?」
「なんでよりによってカープなわけ?」
「一体全体、何が起きた?野球なんか興味無かったじゃん!」
そんなことから始まり、
「あんな弱くて、貧乏なチームになぜ?」
「なんで今、カープなの?達川(光男選手)がいる時に好きにならないで、なんでいまなのよ?」
「巨人対広島のゲーム見て、どうして巨人にはまらないわけ?」
「巨人相手なら、ま、広島好きになるのは、わかるなぁ」
「よっぽど、カープの熱に、ほだされたんだな」
そんな、ありとあらゆる意見である。しかしやはり、みなが同じく口にするのは、「まさか、野球に興味を持つとは・・・」という驚きである。それくらい、スポーツに縁のないイメージが完全に出来上がっているのである。「せめて、シンクロとか、フィギュアスケートならわかるけどね」。そんな声も耳にした。それほどまでに、私はスポーツに全くゆかりのない人間なのである。しかも、29年もの長い間。
そんな私がカープを好きになってからというもの、次第に認知され始めたおかげでか、周囲の人からかかる声も変わってくるようになってきた。
「広島、調子いいねぇ~」
「いやー、昨日は勝たせてもらいましたよ~」
さらには、
「オールスターゲーム、カープの選手ばっかりだな~」
「中日、怖いよな~。なんであんなに強いんだよ~」
「もう、今シーズンはあきらめた~ (←主に阪神ファンだが)」
そんな、プロ野球全般にまで話が広がるようになったのだから、少し前まで、「は?野球?別に興味無いし」と言っていた私とは思えない。自分も、周りも、本当にびっくりである。この数か月で目覚ましい学習能力というか、ようやく一般人なみに野球をそれとなくわかるようになってきたのだから、私にとっては非常に大きな成長である。
はじめの一歩は、きっと、何歳でもいいのかもしれない。
そんなことを、思ってみた。
(次回は最終回)
July, 2009 「じゃけぇカープが好きなんよ」 vol.162009/5/30
(前回から続く)
偶然書店で出逢った1冊の新書、『Hiroshima 都市と球場の物語』。一気に読み終わり、広島市民球場のことをぼんやり考えているとき、私はふっと思い出した。市民球場へは一度も行ったことはないのだが、よく考えれば、すぐ横に位置している原爆ドームには行っていたのである。高校2年生の修学旅行の時だ。もうそれは10年以上前のできごとなわけだが、私は突然、原爆ドームの前で撮った1枚の写真を思い出した。「そうだ、確か、みんなで撮った写真があったはず」。私は本を読み終えた後、真夜中にいきなり思い立ち、古いアルバムをがさごそと探しはじめた。もう、何年も見ていないアルバムである。パラパラとめくっていると、思い描いていた景色がすぐに見つかった。そう、原爆ドームの前で撮った1枚の写真だ。その写真を目にしたとき、私はおもわず、じぃっと固まっていた。そう、原爆ドームのすぐ後ろに、広島市民球場が写っていたのである。当時はそこに何があるかも全く知らなかったが、いまや私は、にわかカープファンである。「あぁ、あのときにカープを知っていれば・・・」。そう夜中に一人悔やんだのは、言うまでもない。しかし、その当時、私は原爆ドームを目にするのが、本当に怖かった。実際、その姿を写真に収めることもできなかったくらいだ。今でさえ、もう一度訪れるには勇気がいるというのだから、球場の存在に気がつかなかったのも、無理はないのかもしれない。
それにしても、人間とは不思議な生き物である。興味があると、関心があると、目に見える世界は一気に違ってくる。感性とは、好奇心とは、人生を楽しむ上で最も重要な要素なのかもしれない。
そんな今更の発見を抱きながら、赤い本を読み終えていた。
(次回へ続く)
「じゃけぇカープが好きなんよ」 vol.15
2009/5/29
(前回から続く)
ある日の夜、偶然訪れた書店で、私は一冊の本に気がついた。野球コーナーの平棚に積まれていた新書である。手にとった瞬間、タイトルよりも先にこんな文字が目に入ってきた。「ありがとう!広島市民球場」。そう、広島市民球場が主役の本だったのである。しかし、私はこれまでAmazonで広島カープ関連の本をひたすら探していたにもかかわらず、この本の存在にまったく気が付いていなかった。それもそのはず、タイトルに「カープ」の文字が無かったのである。正式なタイトルは、『Hiroshima 都市と球場の物語』(PHP出版/阿部珠樹著)。まだ出版されてからそれほど日が経っていないこの一冊。どうやら、「Number」などにも書いているスポーツジャーナリストの方が記したものらしい。文体は、私の好きな真っ当ノンフィクションだ。とはいえ、カープファンとしてではなく、冷静な目を持ったライターが広島市民球場を独自の切り口で語るというのが、実に特徴的である。もちろん、ここで言う広島市民球場というのは、現在使われている新球場ではなく、原爆ドームのすぐ横に位置する以前の市民球場なわけだが、その球場には、驚くほど深い歴史や熱い思いが秘められていた。
他の球場と圧倒的に異なる、広島市民球場というこの存在。
案の定、私は見事に、そしていとも簡単に、すっかり胸を打たれていた。
(次回へ続く)
July, 2009 「じゃけぇカープが好きなんよ」 vol.14
2009/5/28
(前回から続く)
広島カープの本を立て続けに読み始めた私は、もっともっとと活字を欲する欲求が止まらず、次から次へとカープの本を探し求めていた。が、意外とどうしてノンフィクションタイプの本がみつからない。選手が書いたものや、野球の解説のような本はあるのだが、私にしっくりくる本がなかなかないのである。そんな中、私は2冊の本に巡り合った。1冊は、なんとプロジェクトXの本である。もともとNHKで放送された題材を本の形に収めたものらしい。どうやら、プロ野球団数あれど、プロジェクトXで取り上げられたのは、カープが唯一ということである。確かに、納得な話である。短いながらも、カープ誕生の感動話が凝縮されていた。そして、もう1冊の出会い、これは書店で偶然見つけた本である。タイトルにカープの名前はなかったので、Amazonで検索しても見当たらなかったのである。ある日の夜、偶然書店で見つけた私は、新書でリーズナブルな価格ということもあり、すぐさまレジへと向かっていた。
新しい本とでの出会い。それはやっぱり、好奇心をくすぐるものだ。
楽しい本の時間が、私の中で始まっていった。
(次回へ続く)
「じゃけぇカープが好きなんよ」 vol.13
2009/5/27
(前回から続く)
カープの歩みを記した赤い一冊、『広島カープ昔話・裏話』。その360ページの厚い本も、気がつけば5日であっという間に読み終えていた。通勤中、移動中、寝る前、没頭するとはこのことである。ただひたすら赤い本を読みつくし、終わった頃に、ほけーっとなっていた。カープの歴史には笑いと涙が凝縮されている。途中、ケラケラと大笑いし、そして、うるうると感動し。そんなことの連続で、あっという間に読み終えてしまったのだ。楽しい本というのは不思議なもので、次々とページを読み進めたい一方で、なんだか読み終えるのがもったいなくて、ゆっくりじっくり大切に読みたくなるような、そんな矛盾が次から次へと生まれていく。この本も、もちろんそんな裏腹の気持ちを抱えたまま、結局ばぁーっと読んでしまったのだが、やはり「あの話、面白かったな」とそれから1週間以上にわたり、夜な夜なページをめくるという日々が続いていた。それくらいに、面白い本だったのである。
カープ好きにはたまらない、マニアックでディープ、そしてローカルな本。
赤く熱い一冊を読み終えたころ、ますます私のカープ熱には拍車がかかるようになっていた。
(次回へ続く)
July, 2009 「じゃけぇカープが好きなんよ」 vol.12
2009/5/26
(前回から続く)
ある日突然、私のもとへ届いた一冊の本。真っ赤な表紙と分厚いページ。写真やイラストよりも圧倒的に活字だらけのノンフィクションストーリー。ノンフィクション好きの私が、はまらないわけがない。題材はもちろん、広島カープなのだから、ますますどっぷりモードである。
昔ばなしというタイトル通り、内容は広島カープ誕生の昭和24年前後の話から始まり、昭和30年代までの話が凝縮されている。実は読み始めて、ひどく驚いたことがあった。その前に読んでいた『広島東洋カープ60年史』の中で、私は非常に気に入った文章、と言ってもほんの1ページ、があったのだが、その書き手と、この『広島カープ昔話・裏話』の著者が同じ方であったのだ。どうりで、私がすぐに気に入るわけである。
そんな偶然性もあり、私はとにかくこの昔ばなしに没頭した。カープが誕生時からどれほどお金がなかったか。そして、どれだけ地元の人たちがカープを愛し、カープ存続のために奔走したのか。とりわけ泣けるのは、プロ野球の選手にもかかわらず、選手は宿舎でご飯のおかわりすらできず、そして選手自らがカープグッズをファンに売り、さらには、封筒や糊などの備品ですら、ありとあらゆる会社からおすそ分けしてもらっていたということである。それほどに、お金もなく、良い選手もそう簡単に買えないカープが、60年間もよく存続したものだと涙ながらに感動してしまう。その裏には、もちろん、尋常でない熱いファンの思いと樽募金といった膨大な寄付金があったのだが、やはりそれは、広島カープが、原爆投下後の廃墟と化した広島の街に差し込んだ、ひとすじの光という存在であったからに他ならないのだろう。
どのプロ球団とも異なる性格を持つカープが、そして貧乏と言われつづけたカープが、60年間もその歴史を続けてくれていることに、私は今更ながら、なんだかすごくありがたい気持ちになっていた。
(次回へ続く)
「じゃけぇカープが好きなんよ」 vol.11
2009/5/25
(前回から続く)
カープの歴史を学び始め、その歴史と熱さに胸打たれていた頃、私のもとに一冊の本が届けられた。ひょんなことから頂いたこれまたカープの赤い本。そもそも「野球」のやの字もない私に、野球の本を読む習慣などまったくないわけだが、カープの60年史を読んだことがきっかけとなり、すっかりカープ関連の本にも興味を持ち始めていた。そんな頃、私の過熱ぶりを知ったカープ歴何十年という大先輩からこの本を頂いたのである。そう、タイトルは、『広島カープ昔話・裏話』(西本恵氏著/トーク出版)。サブタイトルには「じゃけえカープが好きなんよ」という素敵な直球の名前がつく、この1冊。すでにAmazonなどではカープ関連の本を探していた私だったが、この本の存在はまったくもって知らなかった。「ディープでマニアックな本です」。そう聞かされた私は、もう一度Amazonで調べたが、やはり、見つからない。Amazonで売られていない本もあるのかと妙に感心してしまう。いや、それほどまでにマニアックでディープな本を突然頂いたことに、私は「わーい」と喜んでいた。しかも、私の好きなノンフィクション。マニアックでカープ愛のたっぷり込められている本なんて、そうそう自分で巡り合うこともないだろう。
真っ赤な本を片手に、私はふたたびどっぷりと、カープに浸りはじめていた。
(次回へ続く)
July, 2009 「じゃけぇカープが好きなんよ」 vol.10
2009/5/24
(前回から続く)
絶好のタイミングで発売されたカープの本、『広島東洋カープ60年史』を読み込んでいた私は、その60年という長き歴史にただひたすら感嘆と驚きの声をあげていた。いや、60年というよりも、とりわけカープ誕生の昭和24年から数年間の歴史にものすごく胸を打たれたのだ。「貧乏で弱い」というレッテルを貼られることもままあるカープだが、今から60年前はもっともっと貧乏で、とにもかくにも弱かったらしい。そもそも、カープは他の球団のように特定の親会社がなく(これは今でもそうだけど)、監督自ら募金集めに奔走しなければならないくらいに資金もなかったので、いい選手もあつめられない。が、その弱さを補い、今日まで球団を存続させたのが、カープを支える多くの人々の圧倒的な情熱と愛だったというのが、私にはぐらっときた。これで、もう、私は完全にカープ大好きっ子である。基本的に熱いのが好きな私は、心ある人たちの温かい思いとかいうのに、めっぽう弱いのだ。60年史を読みながら、どっぷりと、そしてますます、赤ヘル軍団にはまっていった。
そうしてまた、この本がまた別の一冊の本へ結びついていく。
次から次へと何やら不思議なつながりが、私のもとにはもたらされていた。
(次回へ続く)
July, 2009 「じゃけぇカープが好きなんよ」 vol.9
2009/5/23
(前回から続く)
人生とは何が起こるかわからないものである。つい少し前まで、「プロ野球?興味無いし~」と口にしていた私が、ある日、すごい本を買ってしまった。薦められるがままとある本屋で購入した、その真っ赤な本。それはもちろん、カープの本。その名も『広島東洋カープ60年史』である。表紙からして真っ赤という、まさに「赤ヘル軍団」以外の何物でもないその本は、カープ誕生60年を祝してベースボール・マガジン社から出版されたばかりの本であった。ちょうど60周年を迎えるというおめでたい年であったことさえも、私にとっては初耳の話。「もっとカープのことを学べ!」と言われていた私には、これ以上ない素晴らしいタイミングでの教材発売である。1949年、昭和24年のカープ誕生の歴史にはじまり、年度別成績に選手名鑑、選手インタビューにコラムなどなど、ありとあらゆるマニアックな話が凝縮されており、ファンにはたまらない一冊に違いないだろう。
カープのライバル球団のおひざ元で、真っ赤なカープ本を買った私。広島県民でもなければ、広島出身でもない私は、ちょっと変な存在なのかもしれない。いや、別に、そんなことはきっとどうでもいい。
帰りがけの新幹線、90分の乗車時間。ただひたすら、赤の歴史を読みふけっていた。
(次回へ続く)
July, 2009 「じゃけぇカープが好きなんよ」 vol.8
2009/5/22
(前回から続く)
ある日、野球好きの大先輩からとある本を薦められた私は、言われるがままに本屋さんへ向かっていた。お目当ては、もちろん広島カープの本である。
偶然訪れていたとある地方の、とある書店。私は一日でも早くその本を手にとりたかったため、東京に戻る前に、駅前の書店を目指していた。明らかに、広島カープのファンはいなそうな地域である。なにせ、その地域、別のセ・リーグ球団のおひざ元なのである。そんな場所で、ライバル球団の本なんて、果たして売っているのだろうか。野球にまだまだうと過ぎる私は、「後ろから刺されちゃったりするんじゃなかろうか」などと、ありもしないことを考えつつ、カープ色、つまり真っ赤の本を探していた。小さな書店だったため、おそらくは見つけられないだろうと思っていたものの、なんと2冊もお目当ての本は並べられていた。ライバル球団の本だというにも関わらず、である。
生まれて初めて自分の意思で野球の本を手にとった私は、そのまますぐさまレジへと向かうことにした。
が、なんとなく恥ずかしいし、後ろから何か言われるんじゃなかろうかと、そわそわしてしまう。
私は、さも、「頼まれたのよ~」というような雰囲気を醸し出しながら、カープの本を買うことにした。
人生29年目にして野球の本を買うなんてと、自分自身でも驚きを隠せないまま。
(次回へ続く)
July, 2009 「じゃけぇカープが好きなんよ」 vol.7
2009/5/21
(前回から続く)
「カープ好き」が、周りに知られ始めたとある頃、私のもとにいい知らせが寄せられた。実にいいタイミングで、1冊の本が発売されたのだという。
「にわかカープファンなら、この本読んで勉強せぇ」
野球については私の1000倍詳しい大先輩からのお達しである。
「はて、なんでしょう」
そう思いつつ、私はすぐにアマゾンで内容を調べ、そして発売直後に書店で買い求めることにした。生まれて初めて買う野球の本。とはいえ、ただ単に野球の雑誌などではない。実に、マニアックな本のようなのだ。
我ながら、なんだかすごいところまで来てしまった。
そう思いながら、私は、とある書店でその本を探していた。
「真っ赤な本、真っ赤な本・・・・」
そうキョロキョロしつつ、私は本屋さんでその姿を探し求めていた。
(次回へ続く)
July, 2009 「じゃけぇカープが好きなんよ」 vol.6
2009/5/20
(前回から続く)
ある日を境に広島カープを好きになり、試合結果やスポーツニュースをチェックするまでになった私。毎日、試合の勝ち負けに一喜一憂しながらも、選手の名前を覚え、特徴を覚え、試合のイロハを学び、ということを日々重ねていた。プロ野球ファンから見れば、ごくごく当たり前すぎて取るに足らないことではあるが、私にはそれが極めて新しく、新鮮な世界だったのである。日々、勉強。まさにそんな風に、毎日新たなものを次から次へと吸収していくような感覚だった。
そんなある日、スポーツニュースを見ると、交流戦スタートとの特集が組まれていた。はて、なんでしょう、交流戦って。今になってみれば普通にわかることなのだが、私にはその「交流戦」という意味が全くわからなく、「これって、何?」という?マークが頭の中にただ浮かんでいた。そもそも、セ・リーグとパ・リーグの違いもいまいちよくわかっていない私である。交流戦がなんなのか、それすらもわからず、ネットであれこれと調べたものの、いまいち腑に落ちる解説が見当たらない。
これって、単なる交流試合・・? 練習試合みたいなもの・・・? 勝ち負けは、どうなるわけ? いつもの試合と何が違うの・・?
そんな疑問を抱きつつも、あまりにも世の中の人が普通に知っているようなので、なんだか訊くのも気が引け、数日間の間は自分でうにうに考えていたのだが、結局私にはお手上げであった。なにせ、プロ野球の基礎知識が皆無どころか、マイナスに近い私なのである。自分で考えても埒が明かず、ある時、カープ歴数十年という大先輩に、恥ずかしながら交流戦の意味を訊いてみることにした。すると、「交流戦って何ですか?」という愚問に対し、実に丁寧に優しい解説をして頂き、これまでのカープの成績まで教えて頂いて、私の中で交流戦の意味がものすごくクリアになったのである。「そっか、単なる練習試合じゃなくって、成績もちゃんと関係あるんだ」。そんな素直で、今更な納得である。おそらくは、日本全国の1億人近くの人に馬鹿にされてもおかしくない愚問であったと思うのだが、きちんと解説してくださる方がいて私は幸せ者である。
そんなこんなで、私は目の前に浮かび上がってくる疑問、謎をひとつひとつクリアしながら、試合に一喜一憂することになる。
そうしてまた、カープ大好き路線を、一気に走り始めていた。
July, 2009 「じゃけぇカープが好きなんよ」 vol.5
2009/5/19
(前回から続く)
ある日突然、ライブの試合を見て、広島カープを好きになってしまった私。自分自身でも驚くほどに、次々と様々な変化が現れ始め、私の日常生活は次第に変わっていくことになる。
まずは、何より、カープの試合結果を毎日チェックするようになってしまったことだろう。毎日、夜になると、ネットや携帯で、カープが勝っているか、負けているかを必ずチェックするようになってしまった。もっぱら、その情報源はYahooスポーツなのだが、これまでまったく縁のなかったサイトであるがゆえ、当初どこをどう見たらいいのかもさっぱりわからなかったが、日々の積み重ねか(?)、今ではカープ歴18年というファンよりも、いち早く試合結果を把握しているというほどになっている。人間、変わる時は変わるものである。
そして他に変わったことといえば、もちろん、夜のスポーツニュースである。大抵、仕事や用を済ませて家に帰るのは、いつも夜の23時以降なのだが、ちょうど帰宅した頃から、ニュース番組が各チャンネルで始まるため、ついついスポーツニュースをチェックしてしまうようになった。以前であれば、「また野球か、じゃいいや」とチャンネルを変えるくらいであったのに、今では意識的に、「すぽると見なきゃ~」なんて思うようになってしまったのだから、これまた驚くべき変化である。
しかも良く分かっていない私は、昔から、「なんで、プロ野球って、毎日同じ相手と試合してるの?」といぶかしげに思っていたのだが(サッカーJリーグの試合スケジュールが頭の中に基本としてあるため、毎日続けて同じ相手と試合をしていると不思議な感じがしていたのだ)、今となっては、3日連続で同じ相手と試合をやる意味(?)、そして楽しさがなんとなくわかるようになった。いやもちろん、サッカーであれば、そのハードさゆえ、3日も連続で試合なんてできないわけで、そのスケジュールは当然なのだが、そんなスポーツ間の違いも、私には実に新鮮な発見だったのである。
スポーツにもプロ野球にも縁のない私は、こうして一気に、カープにはまっていった。
そして、拍車をかけるようなできごとが、次から次へと起こっていった。
(次回へ続く)
「じゃけぇカープが好きなんよ」 vol.4
2009/5/18
(前回から続く)
ひょんなことから、プロ野球の開幕戦を見に行った私。試合は巨人対広島カープ。東京ドームで見るのだから巨人戦なのは当たり前なのだが、なんとなく、巨人本拠地のドームに、カープを見に行くというのが、私には不思議な感じだった。なにせ、初のプロ野球である。かつてより、野球に誘われることは数えるほどあったが、毎回断り続けていたため、知らない世界に足を踏み入れることが、なんだか自分でも不思議な感覚であった。
見るもの全てが新しい世界は、驚きと感心の連続だった。平日の夜、サラリーマンがYシャツの上からユニフォームを羽織り、ビール片手に応援している姿は、なんだか妙に微笑ましいし、そして、これだけ多くの人が、野球を見に集っていることが私には驚きであった。そして何よりも、この人生初のプロ野球戦で、広島カープが巨人相手に快勝してしまったことが、私にとって運が良かったというか、運命の分かれ道だったというべきだろうか。この日を境に、カープが好きになってしまったのだから、人生とはまったくもってわからないものである。野球自体というよりも、カープファンの熱さと勢いにほだされてしまったというほうが、正しい言い方かもしれない。プロ野球の応援って、どのチームも同じじゃないの??とごく普通に思っていた私には、ある意味衝撃的な開眼ぶりであった。いやもちろん、その時点では、選手の名前も監督の名前も、カープの歴史も、それこそ野球のイロハもこれっぽちもわかっていない。しかしそこから、一気に、「カープ!」という新たな世界が私の中で確立してしまったのは、事実である。
人生は、何が起こるかわからない。
29回目の春、極めて遅咲きのプロ野球デビューは、こうして私の中で始まっていった。
(次回へ続く)
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