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    October, 2008

    本のことを書いてみる vol.3

     
    2008/10/24
     
     
     
    休刊続きの出版業界だが、どういうわけか広告収入だけで成り立っているような安泰な本もある。
     
     
    そして最近私が気になっているのが、とある「ぎらんぎらん」した雑誌のことだ。この雑誌、基本的には私のような人間はターゲットに入っていない。いや、もっと言ってしまえば、女性が読むような本ではないのだが、とにもかくにも口があんぐりとしてしまうほどにぎらんぎらんしているのである。主に、40代以上の男性向けなのだろうが、そこかしこにこう、なんというか、「お金持ってます」みたいな雰囲気が漂っている。一番引いたのは「自家用ジェットはいくらでもてるか」みたいな記事があった時だ。しかも、夢物語ではなく、かなりリアルな話であった。まあ、もともと「お金持ってて仕事もできて、趣味もプライベートも充実してますけど?」というような男性向けなのだろうが、「車に別荘にクルージングに」みたいなぎらぎらした男性誌がそれなりに売れているにもかかわらず、その一方で中身もぎゅぎゅぎゅと詰まっている一見地味目の文芸誌が休刊に追い込まれていくというのだから、私はなんとなく、いや、かなり腑に落ちない。いったいどんな男性方がこの手の本を眺め、そしてこの本を吸収しているのだろうと、ちょっと不思議に思う。おしゃれな男性向けらしいけれど、私にとっては首をかしげるものもなきにしもあらず。
     
     
    まぁ、そんなことはどうでもいいか。
     
     
    いずれにせよ、「いい本のほうが売れない」というのは、長く出版業界で働いている方々の切実な心の叫びなのだろう。
     
     
    真っ当な中身の濃い本が、もっともっと売れてほしいと思っている私なのであった。
     
     
     
     
     
    October, 2008

    本のことを書いてみる vol.2

     
    2008/10/23
     
    (前回から続く)
     
     
    『論座』、『現代』、『読売ウィークリー』
     
     
    これら3冊の共通点、実はごく最近できたばかりだ。
     
     
    かと言えば、この3誌。残念なことに、休刊が決まった雑誌なのである。『論座』と言えば、堅いイメージはあるものの、『月刊文藝春秋』と似たようなタイプだと思っていたし、休刊するなんて思ってもいなかった。
     
    そして、何より『月刊現代』だ。まさか、あの『現代』が休刊に追い込まれるとは信じがたい事実である。実際、『現代』も『月刊文藝春秋』、『正論』、『諸君』などとどことなく似たような総合誌のイメージだが、私はいたって普通に売れていると思っていた。にもかかわらず、「休刊」と言う事実である。これには私も衝撃を受けた。
     
    そして、つい先ごろ確定したのが(正式発表は10/29?)、『読売ウィークリー』のこれまた休刊だ。12月頭でどうやら発刊がストップするらしい。総合文芸誌という感じではないが、ミーハーな週刊誌や、きちっとした経済誌でもなく、ちょっと珍しいタイプの週刊誌であり、電車の中吊り広告でもしょっちゅう目にする雑誌であった。
     
     
    この3誌の中で、私が一番よく購入していたのはもちろん『現代』だ。週刊現代は買えない&買わない私だが、月刊のほうは、読みたい記事があればきちんと毎号買っていた。にもかかわらず、休刊とはなんとも悲しい時代である。おそらく、『月刊文藝春秋』が一番総合誌としては売れているのだろうが、この手の読み物が世の中から消えるというのは、やっぱりネット重視の時代だからなのだろうか。それとも、活字離れの結末なのだろうか。いやそれとも、もっと違うジャンルに興味関心が移ってしまったというのだろうか。答えはわからないが、名だたる雑誌の休刊がばたばたと続いている。しかもあの『月刊PLAYBOY』までもが休刊が決まったという事態。いやはや、これからの出版業界というのは、何がどう変わっていくのだろう。
     
     
     
    そんなことを最近至極、思っている。
     
     
     
     
     

    本のことを書いてみる vol.1

     

    2008/10/22

     

     

    『論座』、『現代』、『読売ウィークリー』

     

     

    この名前を聞いてすぐにピンと来る方は、きっと本がかなり好きな方か、出版業界に関係している方だろうと思う。

     

    これら3冊の雑誌には、実は共通点がある。

     

     

    わかる方には「超簡単!」だが、あまり馴染みのない方には「はて?」というこの共通点。

     

     

    本のことについて、これからちょっと書いてみようと思う。

     

     

     

     

    October, 2008

    浮かぶ月

     

     

    2008/10/21

     

     

    いつだったか。休みの日の夜、誰もいないオフィス街を歩いていた。いつもはサラリーマンがいる通りなのに、休みとあってひっそりしている。灯りもないし、人もいない。どこかさみしげな静かなその通り。

     

    ふっと後ろが気になって、足を止めて振り返ってみる。後ろには何もいない。あたりには誰もいない。

     

     

    なんだ、気のせいか。

     

     

    そう思って、前を向こうとしたその瞬間。晴れた夜空にぽっかり美しく浮かんでいた。ちょうど視線の先に、きれいな月が待っていた。

     

     

    どことなく欠けているそのまあるい月。凛とした空気の中。

     

     

     

    そっか、呼んでいたのは月でしたか。

     

     

    そんなことをちょっと思いながら、歩いては振り返り、歩いては仰いでみる。

     

     

     

    月が綺麗な日は、なんだかちょっといい気分。これまた秋の夜長の楽しみだろうか

     

     

     

    月曜の夜

     

    2008/10/20

     

     

    月曜の夜。残業の後、飲み会に出掛け、その後いったんオフィスに戻る。しばし仕事の後、もう一度オフィスを出る。

     

     

    時刻はまだ夜の9時半過ぎ。

     

    あれこれやったにもかかわらず、時間がそれほど過ぎていない夜は、なんだかどことなく得をした気分になる。

     

     

    電車に少し揺られ、お気に入りのカフェで一息。月曜の夜、ゆっくりまったりと過ごしてみる。

     

     

    慌ただしいのも、たまにはちょっと、置いておこう。そんな夜がぴったりの秋。

     

     

     

    October, 2008

    ブログ3周年お礼

     

     

    2008/10/19

     

     

    みなさま

     

     

    いつもアクセス頂き、どうもありがとうございます。

     

    さて、今回はささやかなお知らせです。すっかり忘れかけておりましたが、先日の1014日をもって本ブログは3周年を迎えました。ここまで3年間も毎日よく書いてきたものだと自分自身でも驚きですが、何よりも、アクセスして頂いているみなさまのおかげと感謝しております。

     

    相も変わらず雑駁そのもののランダムノートですが、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

     

     

    sandyayano

     

     

     

    週末のシンデレラ

     

     

    2008/10/18

     

     

    土曜の夜、家にいるときに見るテレビは、大概相場が決まっている。それは23時の「恋のから騒ぎ」だ。さんまさんのこの長寿番組は、始まった当初の15年くらい前から大好きであり、いまだに家にいる時はついつい見てしまう(でも、タレント&女医の西川史子氏がかつて恋からに出ていたというのは、全く記憶にないのだが、私だけだろうか)。

     

    そして、「恋から」に続いて放映される「週末のシンデレラ 世界!弾丸トラベラー」も、これまた私は大好きである。女性をターゲットにしている番組なので、世の男性はあまりご覧になったことがないかもしれないが、世の女性は結構この番組好きであろうと勝手に思っている。そしてまた、女性の心理を知りたい男性にも、もしかしたら参考になる番組かもしれない、なんてことを思っている。

     

     

    そういえば、少し前、この世界弾丸トラベラーを見ていたら、とっても驚いたことがあった。それは別に、ナレーションがキャイ~ンの天野くんであることではもちろんない。そうではなく、ナレーションの中で「番組開始1周年!」と言っていたことだ。それを聞いた瞬間、私はわが耳を疑った。「えぇ??まだ1年しかやってないのこの番組??」と。

     

    私はてっきり、だいぶ前からこの番組を見ていた気がしていたので、すでにもう2年くらいは続いていると思っていた。が、まだ、正式には1年しかやっていないらしい。そこで私はうーんと考えてしまった。去年の10月からこれまでの1年間を振り返ってみると、恐ろしいほどに早いスピードで毎日が過ぎ去っていて、あんまり記憶がないのである。しかし、この番組が1年しか放映されていないにもかかわらず、もっとずっと昔からやっていると感じたというのは、一体どういうわけなのだろう。それって、この1年が充実していたということなのだろうか。それとも、1年があんまり宜しくなかったということなのだろうか。私はこの番組を見ながら、この1年をうーむと振り返ってしまっていた。

     

     

    結局のところ、大して意味のない自問自答なのだが、週末のシンデレラを眺めながらゆるゆるする土曜日は、結構好きな時間だったりする。

     

    次の旅はどこに行こうかなと、心の中で考えながら。

     

     

     

    銀座カイバルへ

     

    2008/10/17

     

     

    平日のとある夜。銀座のはずれにある北インド料理レストラン「カイバル」へと向かう。ここを訪れるのはもう5度目か6度目になる。数え切れないほどのお店がひしめく銀座で、何度もリピートしたくなる店というのは、実に貴重だ。この日も女性4人でカイバルを訪れ、野菜やスパイスがぎゅっとつまった美味しいなお料理をこころゆくまで堪能する。店内は女性のほうが多いが、男性2人組みなんていう方もいらっしゃるし、大人がゆっくりと楽しく食事をできるいい空間だ。この「カイバル」をネットで検索して、私のブログにやってこられる方も多いし、いつお邪魔してもお客さんで賑わうほどの人気店。コストパフォーマンス◎のお気に入りのお店である。

     

     

    野菜とスパイスのおかげで、なんだか体の中がぽかぽかと、そしてすっきりとしたような幸せなお食事だった。

     

     

    October, 2008

    宮脇昭先生植樹祭情報 ~タスマニアツアー~

     

    2008/10/16

     

    今日は宮脇昭先生の植樹祭情報をアップいたします~。

     

    宮脇先生が所長をつとめる国際生態学センターでは、今回初めてのタスマニア記念植樹の旅を行います。

    なかなか行くことのできないタスマニアの自然を楽しむ貴重なツアーですので、ご興味ある方はぜひお早めにご検討ください。

     

    日時:1213日(土)~21日(日) 9日間

    費用:258000円 (+諸税等)

     

    詳細およびお申込みはこちらからどうぞ。

    http://www.jise.jp/info/info_top.html#tasmania_tour

     

    以上、お知らせでした。

     

     

     

    October, 2008

    ピリオド

     

    2008/10/15

     

     

    私はピリオドが苦手だ。

     

     

    文章の句点というよりも、終止符を打つという意味のピリオドだ。

     

     

    私は昔から、そう、物心ついた頃から、自分の意思で始めた何かを、自分の意思でやめるということがほとんどない。たとえば、お稽古。ピアノ、書道、バイオリン、日本舞踊。もっとも、バイオリンは全くものになっていないのだが、すべて自分の意思で始めたものだ。そして、高校、大学時代のいくつものアルバイト。すべてこれらは、受験や進学、引っ越し、就職、そういった環境の変化で、やめることをよぎなくされたものだ。その他にもいろいろあるが、一度自分の意思で始めたものは、案外結構、長続きする。「もうやめたい」、そう思ってやめることがほとんどないのである。

     

     

    それは、ある意味、私が保守的な人間であることを意味しているのでもあろう。しかし、幼いころから様々なものを長く続けることが習性となっている私にとって、自分の意思で何かにピリオドを打つということは、かえって意外に難しい。ピリオドを打つ必要があるにもかかわらず、ピリオドを打てずにずるずると時間を送ってしまう。

     

    本当は、新しい何かを始める勇気よりも、今までの何かにピリオドを打つエネルギーのほうが、ずっと何倍も大きいのかもしれない。ここのところ、そんなことを思ってしまう。

     

     

     

    ピリオドを打たなければ、次の文章だって生まれるはずもない。

     

     

    そんなこと、重々承知しているのだけれど。

     

     

     

     

     

    October, 2008

    歌舞伎座をこわさないで

     

    2008/10/14

     

     

    このブログを書いているのは、1021日だ。つまりそう、ブログには約1週間のタイムラグが存在していて、私はいつも過去にさかのぼって、このブログを書いている。

     

    しかし今日は、今の時点での話をしよう。それほど、今、書いておきたいことがある。

     

     

    朝、新聞の見出しに目をやると、衝撃的なニュースがあった。「歌舞伎座、2010年に建て替え」の記事だ。その後、ネットで調べたが、やはり、内容に間違いはない。銀座を代表する建造物であり、長く続く素晴らしい日本文化の象徴でもある歌舞伎座が、老朽化のために、2010年に取り壊され、2013年頃に新しい劇場として再開するという。

     

    今残る歌舞伎座は4代目らしく、それまでの火災や空襲でも、被害を受けるたびに復興されてきたというが、今回は話が違う。耐震性の問題もあり、やむを得ないというのだが、なにも、歌舞伎座を、ビルにしなくたっていいじゃないか。しかもオフィス併設の複合ビルなんて、センスも情緒もあったもんじゃない。なんで、再開発でうじゃうじゃと建つような、複合ビルにしてしまうのか。私には、まったくもって、そのセンスがわからない。歌舞伎ができれば、どんな箱でもいいのか。私は、ハッキリ言って、ものすごいショックである。いや、老朽化の問題で建て替えるというのは、それはわかる。出演者や観客、そして裏方のスタッフに被害が出たりしたら大変だ。それは、わかる。しかし、なぜに、複合ビルの中の劇場なのだろう。あれだけ銀座で愛され、日本人からも、そして観光客からも、その美しさと荘厳さが讃えられるあの歌舞伎座が、どうして複合ビルになってしまうのだ。私は、衝撃というよりも、辟易に近い感情を今覚えている。

     

    歌舞伎座には、過去何度も足を運んだが、あの凛とした特別な空間が私は大好きだった。1階席なんて座れなかったが、3階の席から覗き込むように、食い入るように、舞台をじっと見つめていた。ライトアップで美しく映える歌舞伎座を見ては、しょっちゅう足を止めていた。何度も歌舞伎座の前で、シャッターを切っていた。それが、将来、複合ビルである。私は、もう、信じられない。どうして、同じような建物にしようというセンスも、心もないのだろう。それを十分検討してのこの結果かもしれないが、私は、いや、日本の多くの方が、きっと同じような気持ちを今、心の中でじっと抱えていると思う。そう思えて、仕方がない。

     

     

    どうしてあの歌舞伎座を複合ビルにしてしまうのか。

     

    私はその感覚を、まったくもって理解することができない。

     

     

     

    「お願いだから、あの歌舞伎座を、複合ビルなんかにしないでくれ。」

     

    そう思っている人が、世の中に一人でも、二人でも、少しでもいてくれることを願ってしまう。

     

     

     

    だれか、どうにかしてほしい。

     

     

    そんなことを、今日、ずっと、思っていた。

     

     

     

     

    秋の休日

     

    2008/10/13

     

     

    三連休さいごの日。珍しく、朝起きてすぐにヨガを30分。休みの日にいつもやっているわけではない。しかし、この日はやたらと気合が入っていた。ヨガをしたいわけではない。別の理由があるのである。

     

    身支度を整え、お昼前に東京へ。今度は銀座のジムでヨガ。またしても、ヨガ、である。今度はみっちり60分。自己流ではなく先生のポーズを眺めながら、きっちり、しっかり体を動かす。

     

     

    午後の3時前。今度は日本橋へ移動し、まだ新しさが残るマンダリンホテルへと向かう。そう、今日のヨガは、このためである。土日祝日しかやっていない、デザートビュッフェにきたのである。

     

     

    マンダリンホテルに向かうのは、まだ2度か3度目だ。日本で初めての6つ星クラスというラグジュアリーなホテルであり、普段の私にはほとんど縁がないような場所でもある。しかし、今日は、ケーキビュッフェ。秋の味覚であるモンブランが食べたいと言う友のひと言で、はっとこのマンダリンを思い出した。アフターヌーンティーもやっているのだが、そちらはいつも予約がいっぱいで入れたことがない。しかし、こちらのケーキビュッフェは時間が短いこともあってか、今回すんなりと予約をとることができた。ネット上の口コミではかなり好評らしく、相当な人気があるらしい。甘いもの好きの女性にはたまらない、至福の空間なのであろう。

     

     

    結局のところ、朝からヨガに勤しんでいたというのも、ある種のささやかなケーキ対策であった。「そんなことするくらいなら食べなきゃいいじゃん」と笑う方もいらっしゃるが、それではやっぱり意味がない。食べたら、動く。これに勝る方法はないのだと思いながら、マンダリンホテルの「ヴェンタリオ」へと到着した。吹き抜けのラウンジに、シンプルで気持ちの良いインテリア。ティータイムの少し前に訪れた私は、美しいデザートを次から次へと用意するパティシェたちの動きに見入っていた。なんだかそれだけでもう、楽しい気分になっていた。

     

     

    2人とテーブルについたあとは、もう、マンダリンのレベルに脱帽するしかなかった。ハーブティーや紅茶、スパイスミルクティー、コーヒーなど、ドリンクは20種類以上。しかも、すべてテーブルでのオーダー式であり、1杯ずつサーブしてくれるという徹底ぶりだ。そして、肝心のデザート。常時30種類くらいのデザートやフルーツなどが出されたが、それはもう、ケーキビュッフェの域をはるかに超える美しさ、丁寧さ、そして抜群の美味しさで、そのクオリティーに畏敬の念を覚えるほどであった。あまりの美しさに、一眼レフで写真を撮る方もいたくらいだ(もちろん、私ではない)。しかも、一品一品のこだわりと芸術性が実に素晴らしく、まったくもって手を抜いていないのがよくわかる。サービスもいいし、価格も納得。15時から17時までという時間設定があるので、残念ながら長居はできないが、これほどレベルの高いケーキビュッフェは、今までかつて出会ったことがない。都内にデザートビュッフェ数あれど、これほどに高いコストパフォーマンスを誇れるホテルも、きっとそうそうないであろう。

     

     

    2時間の甘く幸せな時間を過ごした後、友と一緒に日本橋で買い物。その後、家に帰り、真夜中にはふたたびのヨガ。そう、忘れてはならない、「食べたら、動く」の法則である。1日に3回もヨガをしたのは、人生で初めてだ。そしてまた、これほど素晴らしいケーキビュッフェに出会ったのも、やはり人生で初めてだ。

     

     

    食欲の秋、運動の秋。ある意味バランスのとれた、楽しい秋の休日だった。

     

     

     

     

    October, 2008

    あたらしい図書館 (後編)

     

    2008/10/12

     

    本を読みたい気持ちと、本を読める時間のバランスが取れるようになったある日のこと。私は夜7時過ぎ、仕事を終えて東京タワーのほうへと向かっていた。ネットで港区立図書館を調べたところ、オフィスから歩いて10分強のところに「みなと図書館」というのがあることがわかったからだ。閉館時間は夜の8時。9時までであればもっと嬉しいのだが、そうもわがままは言えないだろう。私はてくてくと歩いて、東京タワーを眺めながら目的の場所へと向かっていた。その図書館は、御成門駅のすぐそばにあり、大通りに面した良いロケーションにあった。しかし私は、ずっと前からこの近くを通っていたのにもかかわらず、そこが図書館であるということに、まったく気が付いていなかった。建物があったのは知っている。しかし、まったくもって図書館だと思っていなかった。初めてこの日、この図書館の近くまで来てみて、ようやくその理由がわかったのである。芝公園のあたりは、スダジイやクスノキなどの大きな木がとても多く、実に気持ちの良い環境が保たれているのだが、この図書館も周りに木が多いため、遠目ではわかりにくくなっていたからだ。

     

     

    「なんだ、ここって図書館だったんだ」

     

     

    東京タワーの近くに、図書館なんてあったっけ。到着するまでずっとそう思っていた私は、ようやくすとんと府に落ちていた。灯台もと暗しというか、なんというか。地図を見てもピンと来ていなかった私は、自分自身の日々の観察力の無さを少し反省していた。のほほん、たら~んと過ごしていては、世の中もったいないことだらけだ。そんなことを思っていた。

     

     

    茶色の落ち着いた建物に入る頃。なんだか私はちょっと楽しくなっていた。あたらしい図書館なんて、実に久々だ。いや、もちろん、その施設自体が新しいわけではなく、ただ単に私個人にとってあたらしいのだが、初めて訪れるその知の宝庫が、一体どんな風なのかとなんだかわくわくしていたのだ。

     

     

    館内に入り、あたりを見渡すと、そこは不思議なくらい、懐かしくあたたかい空間だった。初めて訪れるのに、懐かしいというのはどういうことなのだろう。いや、きっと、私だけではない。他の誰かでも、きっとどこか懐かしさを覚えてしまうような図書館だったのだ。私はなんだか、小学校や中学校の図書室をふっと思い出していた。木の本棚、木の床。長年大切に使われてきたであろう木のぬくもりが、あちこちに感じられるような空間だったのだ。おそらく最近では、いろいろな図書館でリニューアルがなされ、とてもおしゃれでスタイリッシュな本棚があったり、シンプルで機能的な空間を作り出しているのだろうと思う。しかしここは、そういった現代的なセンスとは一線を画した、実に図書館らしい図書館で、私は妙に嬉しくなった。建物的にはそれほど新しさはないのだろうが、なんだかこう、妙に親しみが沸いてくる。1階から2階までが大きく吹きぬけになっていたり、本棚の間があまり狭くない上に、背の高すぎる本棚がないこともあり、私は居心地の良さを感じていた。港区の図書館というと、なんだかこう立地的に、ものすごく新しく洗練されたようなイメージがあったのだが、その予想はいい意味で裏切られ、私はあたらしい図書館に出会えたことが、なんだかとても嬉しく、満たされた気分になっていた。

     

     

    閉館時間までじっくりと時間を過ごし、私は計3冊の本を借りた。大好きなポール・オースター著のノンフィクション2冊、そして、偶然見つけた、そして今まで気が付いていなかった植樹の本、『いのちの木を植える』(岡田卓也氏×谷川俊太郎氏対談集)の、計3冊だ。本当はもっと借りたかったのだが、あまりにも重いので、小分け作戦でいくことにした。こんなにたくさん読めても、お金がかからないなんて、図書館ってなんてすごいんだろう。そんなごく当たり前のことに、小さな幸せを覚えていた。

     

     

     

    帰り道。オレンジ色に灯された東京タワーを眺めながら、お気に入りのカフェへと目指すことにした。

     

     

    秋の夜長の読書タイム。

     

     

    久々に、こんな秋を満喫できることに、やっぱりちょっと感謝なのであった。

     

     

    October, 2008

    あたらしい図書館 (前編)

     

    2008/10/11

     

     

    10月に入ってから、本を読む時間が増えた。仕事が珍しく少し落ち着いたおかげであり、秋の夜長で本を読むのにぴったりの季節になったからでもある。気がつけば今年の頭から9月まで、本らしい本を読んだ記憶がほとんどない。本を買ってじっくり読む時間がなかったからだ。しかし今、嬉しいことに、本を読む時間と読みたいという気持ちのバランスがとれるようになっている。とはいえ、次から次へと読みたい本はあっても、本屋で片っぱしから買うわけにもいかない。そんなことしたらあっという間にお金はなくなるし、そして何より、読み終わった本が部屋のあちこちに積まれていって大変なことになる。そんなわけで、図書館に行こうかと思ったが、土日に地元の少し離れた図書館へ行くのもなんとなくめんどくさく、平日の夜にどこかで本を借りることができないかと探すことにした。日比谷の図書館も大きくていいのだが、有楽町の駅からも、新橋の駅からも少し離れており、もう少し使いやすい場所はないかと思っていたのである。そういえば、私が普段いる浜松町の近くで、区立の図書館はないだろうか。そう思ってネットで探すと、東京タワーの近くに図書館があるという。

     

     

    これはいいかも。

     

     

    そう思って、私はちょっと行ってみることにした。ある平日の夜のことだった。

     

     

     

    『荒野へ』 vol.3

     

    2008/10/10

     

    (前回から続く)

     

    ある日の夜。私は日比谷の映画館へと向かっていた。ネットでチケットの予約が取れない仕組みだったので、急いで窓口に行くと、運良くまだ席があいているという。夜7時半過ぎに映画館に入り、しばらく上映の時間を待っていた。意外なことに客席はほぼ満員で、女性のほうがやたらと多いようだった。映画の中身から言えば、男性のほうが多いのではないかと思っていたのだが、私のように一人で見に来ている女性のほうが、思いのほか多かった。

     

    8時過ぎ。真っ暗の中、静かに映画が始まる。一週間近くずっと読んでいたジョン・クラカワー著『荒野へ』を原作とした映画、「Into The Wild」だ。2007年にアメリカで公開され、この秋、日本でも公開がされている。あまり大きな映画館では上映されていないようだが、確実に客が集まり、かなり高い評価を受けているらしい。

     

    原作を読み終えたばかりの私は、なんとなく頭の中が不思議な感覚になっていた。ストーリーは全部知っているのにもかかわらず、これから始まるのは全く知らないストーリー展開なのだ。しかし、そんなことは別にもうどうでもよくなっていた。オープニングから、目の前に、私がこよなく愛するアラスカの景色が広がっていたのである。アラスカ鉄道が映し出されたとき、それだけでもう私はなんだか泣きそうになっていた。アラスカに帰りたい。そう思っていた。

     

    この映画は、多少脚色をされているとはいえ、すべて事実に基づいている。ストーリーは、1990年初め、ある裕福な家の、そして優秀な若者が、家も、家族も捨てて、放浪の旅に出ることから始まる。そして、約2年の旅を経て、最後は北の大地アラスカの荒野で、謎の死を迎えてしまう。原作の『荒野へ』は、実によくできたノンフィクションストーリーで、ジョン・クラカワー氏が主人公に関係するおびただしい数の人に、綿密で、丁寧な取材を行っている。そんな原作をもとに、この映画が作られているわけだが、映画も本当に丁寧に、そして時間をかけてじっくり使られているのが、ものすごくよくわかる。おそらくは、監督のショーン・ペン氏のこだわりと徹底ぶりもすごいのだろう。そして、主役を演じるエミール・ハーシュの演技も、もう、半端ではない。私は見ている途中、作られた映画なのか、ドキュメンタリー映像なのかわからなくなったほどだ。そして、何より感じたのは、アラスカの映像の美しさだ。とにかくかなりの年月がかけられて、数々の映像がおさめられたのであろう。べつに最初から最後までが全てアラスカで撮影されたわけではないのだが、出てきたアラスカの映像を見れば、どれだけ時間を費やしたかという苦労が伺える。おそらく、アラスカに興味のない方、行ったことのない方には、あまりピンと来ないとは思うのだが、何度もアラスカを訪れている私にとって、目の前に映し出されている景色は私に馴染みのあるものであり、かつ私が大好きな自然に他ならない。そして、あれだけの美しい映像、しかも、あっという間にうつりゆく季節の美しいところを、あれだけぎゅっと凝縮させてまとめているのだから、よっぽどカメラを回しているのだろうと思ったのだ。

     

    私は、ストーリーはもちろんのこと、約2時間の間、とにかく北アメリカとアラスカの景色に見入っていた。やはり、結末を知っていても、最後の最期は、ぼろぼろと泣いた。決して、楽しく明るく幸せな気持ちにはならないのだが、映像と、語りと、音楽ががつんと胸を打ち、いつまでも心に響き続ける素晴らしい映画だった。

     

     

     

    帰り道。ふっと、こんなことを思っていた。

     

     

    旅に出た人間よりも、旅人の帰りを待つ人間のほうが、ずっともっと不安なのかもしれない、と。

     

     

     

    October, 2008

    『荒野へ』 vol.2

     

    2008/10/9

     

     

    (前回から続く)

     

     

    ジョン・クラカワーの『荒野へ』を読み終わった頃、私はアラスカに帰りたいとずっと思っていた。あの雄大で豊かな大地に帰りたいと思ったのだ。しかしそんなこと、すぐには叶うわけもない。少なくともあと半年以上は、アラスカ行きの目途も立たないのである。しかし、ふっと思い出した。そういえば、この本を原作とした映画がちょうど公開されていたのである。すっかり、映画のことをほったらかして本に夢中になっていた私は、急いで調べることにした。

     

     

    ありがたいことに、その映画はまだ上映中であった。しかも運良く、私が普段いるエリアで、だ。一体いつまで公開されているのかはわからなかったが、とりあえず早めに見に行かないとまたいつものように見逃してしまう。そう思って、とにかく時間がとれたらすぐに見に行こうと決めたのだ。ありがたいことに、仕事はいつもより落ち着いていた。

     

     

    この機会を逃さないよう。

     

     

    行ける日を考えながら、「映画、映画、映画」、そう心の中で繰り返していた。

     

     

     

    October, 2008

    『荒野へ』  vol.1

     

    2008/10/8

     

     

    一週間くらい前から、とある本を読んでいた。前々からタイトルは知っていたが、実際には読むことのなかった翻訳本だ。

     

     

    その本をやっぱり読んでみたいと思ったのは、ある雑誌で最近紹介されていたことを知ったからだ。文庫本が出ていることを知り、私はいつの日かの夜に本屋へ向かったのである。しかし、肝心な出版社を覚えてこず、ふらふらと文庫棚を探したが、どうにもこうにもみつからない。それほど縁もなかったかと、検索機を使う前に諦めて店の外へ出ようとした。その日はそんなに強い執着心がなかったのだ。しかし、諦めて、くるっと方向を変えたその瞬間、ふと視線を落とした平棚の真ん中に、欲しかった文庫本が並べられていた。出版社別の棚ではないところに、なぜかその本が置かれていた。

     

     

    「あ、あった」

     

     

    そう思って私は、すぐさまその文庫を手に取った。タイトルは、『荒野へ』。作者は、私の好きなノンフィクションストーリー 『空へ-エヴェレストの悲劇はなぜ起きたか』を描いた、ジョン・クラカワー氏だ。ページをめくるやいなや、私はそのままレジへと向かっていた。文庫本の嬉しいところは、金額を気にしなくていいところだろう。私はその本がいくらするのかも確かめず、すぐに会計を済ませ、帰りがけ、歩きながら本を読み始めていた。それくらい、私にとっては面白そうな内容だったからだ。

     

     

    それからというもの、私は寝ても覚めてもその本の中にいた。ここのところ活字病になりつつあったので、いい本に出会えてその症状はますます強くなっていた。

     

     

    1日、2日、3日。

     

     

    読み始めてから3日ほどで、私はその本を読み終えた。比較的厚さがある文庫だったが、次から次へとページが進み、あまり長さを感じなかったのだ。読んでいる最中も、読んだ後も、私は実に不思議な気分だった。フィクションのようで、完全なるノンフィクションの話が目の前には展開されているのだが、自分の中でいろいろな考えや過去の経験がぐるぐると回り、現実と空想の境目がいまいちよくわからなくなっていたからだ。

     

     

    不思議な感覚で数日を過ごしたのち、私の頭の中はようやっと冴えてきた。

     

     

    面白い本を読むと、その世界にどっぷりとはまってしまうのは、私の悪い癖だろうか。それとも誰もが経験する、当たり前の事なのだろうか。

     

     

     

     

    あれこれといろんなことを考え続けていたが、結局やっぱり、私はアラスカに帰りたくなっていた。

     

     

    1年以上戻っていないアラスカに、今度はいつ帰れるのだろう。

     

     

    そう思いながら、読み終わった文庫を、何度も何度もめくっていた。

     

     

     

    視点を変えて

     

    2008/10/7

     

     

    とある平日の夜。

     

    珍しくほとんど残業をする必要がなかったため、急いでオフィスを出て銀座へと向かう。久しぶりにパワーヨガのレッスンに出て、1時間みっちりと体を動かすことにしたのである。

     

     

    実はここのところ、毎晩家で30分ほどヨガをしているのだが、やっぱりスタジオでやるのと家でやるのでは、集中力と運動量が断然違ってくる。目の前にいいお手本があって、さらには鏡で自分の形を確認できるというのは、絶大な効果を生み出してくれるのだろう。最近ずっとジムに行けなかったので、お金ももったいないかとジムをやめようと思っていたのだが、ものの60分でその威力を感じてしまい、まだもう少し会員でいるかと思ってしまった。

     

     

    ひとりよりがりにならないためにも、やっぱり客観視は重要なのだろう。

     

     

    違う視点を持たないと。

     

     

    そんなことを思ったある日のできごと。

     

     

     

    October, 2008

    くるりんの夜

     

    2008/10/6

     

     

    ある日の夜。7時前に銀座へ出向き、大急ぎで美容室へと向かう。最終時間に滑り込み、なんとかほっと席に着く。思い立ったら吉日の私は、この日も急遽美容室の予約を入れた。どういうわけか美容室に限っては、大概、「なんか今日切りたい!!」となるので、直前の予約となることが多い。この日は運良く最終時間の予約がすぐに取れ、私の「思いたったら」の願いはありがたく叶ったわけである。

     

    そんなこんなで約1か月ぶりに美容室へ訪れたのだが、もう5か月近くもパーマをかけていなかった私は、自分自身のでんでろで~んとした髪が嫌で嫌で仕方なかった。髪がだらけていると、気分もだらけてしまう。そんなわけで、ある種、気合いを入れるべく、そしてまた自分に活を入れるべく、「パーマかける!!」となじみの美容師さんに宣言し、「あとは任せます~」とすべてを託したわけである。

     

     

    シャンプーを済ませ、ロッドを巻き、しばらく温めて、も一度シャンプー。ドライヤーかけて、ちょこっとカット、スタイリングしたところですべてが終了。目の前にはくるくるくるりんの髪型がいる。

     

     

    「なんか、パスタみたい」

     

     

    そう言った私に、美容師さんは大笑いだ。いつも変な例えばっかしているらしく、「相変わらず変な例えだねぇ」と爆笑される。そういえば、くるくるパーマをかけない時の私の髪型は、まっすぐすぎてぺしゃんとボリュームがなく、どことなく「雀っぽい」のだが、それを理解してくれる人は皆無に等しい。が、確かにあの小さくて丸い雀っぽいのだから、それ以上でもそれ以下でもないのだ。しかし、今回はくるりんパーマをかけたわけで、その髪型はまるで、パスタである。

     

     

    「えーっと、ファルファッレじゃなくて、ペンネじゃなくて、なんだっけ?ねじねじのあのパスタは?」

     

     

    リングイネかとも思ったが、どうもなんだか名前がわからない。あとで調べたところ、「フジッリ」という螺旋状のパスタであることがわかった。そう、私の髪はいまや、くるくるくるりんのフジッリみたいな感じである。別に、美味しそうという意味ではない(当たり前だ)。あくまでも、ねじねじ具合のことを意味しているだけだ。しかし、実によく似ている。パスタも髪型も、こんなねじねじ状のものを発見、考案した人は、どんな気分でどんな時に発明したのだろうと、ふと思う。螺旋階段も、また、然りなわけだが。

     

     

     

    心地よく揺れるくるりんヘアを久々に楽しみながら、夜の美容室を後にする。

     

     

    パスタのことを考えていたら、なんだかお腹が空いていた。

     

     

     

     

    宮脇昭先生植樹祭情報 ~ボルネオツアー~

     

    2008/10/5

     

    今回は宮脇昭先生の植樹祭情報をアップいたします~。

     

    宮脇先生が所長をつとめる国際生態学センターでは、恒例のボルネオ熱帯雨林再生植樹ツアーを行います。

    滅多に行くことのできないボルネオの自然を楽しめる貴重な機会ですので、ご興味ある方はぜひご検討ください。

    なお、定員制ですので、お早めにどうぞ。

     

    日程:平成201122日(土)~26日(水)

    費用:約19万(+諸税)

     

    詳細および申込みはこちらからどうぞ。

    http://www.jise.jp/info/info_top.html#borneo_tour

     

    以上、お知らせでした。